ライブのるじゅえが最高だった話
2021年 7月31日
17:00〜19:11
樋口楓
花畑チャイカ
緑仙
ジョー・力一
町田ちま
夢追翔
レヴィ・エリファ
加賀美ハヤト
にじさんじ初のARライブ“LIGHT UP TONES”
DAY1
⚠️有料パートのネタバレを多く含みます。
るじゅえ3人のソロ曲と3人曲のみの感想です。
オタクの長文半ポエム感想です。
らいぶれぽとも言えない。
何故か若干にじFesVACHSSステージのネタバレも含みます。
るじゅえ……le jouet(夢追翔、緑仙、加賀美ハヤト)が3Dの姿で初めて揃った日だった。るじゅえは3人でボーカルユニットとして活動しているが、3人は個人でも音楽活動をしている。
るじゅえの3人は今回のライブのソロ曲で、それぞれのオリジナル曲を歌った。緑仙さんはフルバージョン初公開のオリジナル曲『藍ヨリ青ク』を歌唱、加賀美ハヤトさんは前奏、間奏で視聴者へのメッセージを交えて自身の代表曲ともいえる『WITHIN』を歌唱、夢追翔さんはARライブならではの演出を起用して自身7(6?)曲目のオリジナル曲『青空を睨む』を歌唱した。
緑仙さんのライブでのフルバージョン初公開は、個人的にとてもワクワクして好ましい演出だった。緑仙さんの2021年の誕生日ライブで公開された曲を聴き返してフルバージョン公開や配信開始を待ちわびていたファンも多かったことだろうと思う。しかしそれも2ヶ月半前の話である。完全に油断していたところを背後から刺された(比喩)。
語るような歌唱に挟まる呼吸、掠れる歌声、緑仙さんの……現在の緑仙さんの歌唱を見せつけられた。ローテンション気味の語りのような歌い出しが、直前の加賀美ハヤトさんとのデュエット曲King Gnuさんの『千両役者』の熱さを瞬く間に冷まして『藍ヨリ青ク』へと引き込まれた。嘲笑のような笑いを混ぜて歌われた1節がその部分の曲調と相まって強く印象に残った。曲が息を吸う音で終わったのを聴いて、これが生歌なのかと動揺してしまった。生ライブで音源のような手法を取り込んでくる緑仙さんに感心せずにはいられない。いや、むしろ生ライブだからこそ、この感情を感じさせる歌唱が映えたのかもしれない。緑仙さんの歌唱は少女的幼さと少年的危うさを兼ね備えたものだと思う。ローテンションの歌唱から可愛らしさすら感じさせる歌唱への移行はその差異でグッピーが死ぬ。今回のライブのセットリストは散々「温度差で風邪引く」と言われていたが、緑仙さんは1つの曲の中で風邪を引かせる。裏声と地声の行き来と裏声の高音が綺麗すぎてびっくりした。訴えかけるような低い歌声に混ざる、耳に心地良い高音の対比は何度聴き直しても聴き入ってしまう。何度でも聴きたい。
緑仙さんの歌唱で特徴的なものの1つが声の抜き方だと思う。日頃の生歌配信でも歌ってみた動画でも、緑仙さんの声の抜き方はあだやかで流麗である。今回はライブということで歌ってみた音源は勿論、普段の生配信とも違った声の抜き方が聴けた。か細く長めに残す声がライブという特殊な状況の熱量を感じさせる。力強く歌った直後の、どこか弱々しくも思えるその声に放心した。両面性とも言える両極端な歌声を数秒のうちに見せつけられて、緑仙さんの圧倒的な歌唱力と魅力に取り憑かれてしまった。
MCで緑仙さんは『藍ヨリ青ク』がサブスク配信開始を控えていることを話した。たすけて。告知をせずに新衣装を出した緑仙さん、前触れなく新たな試みの動画を公開する緑仙さん……過去こうして刺された(比喩)ときの記憶が走馬灯のように駆け巡る。最後に見た景色……ステージ上で楽しそうに話す緑仙さんは綺麗だった。ありがとう緑仙……この世に生まれてきてくれて……。
冒頭で『WITHIN』を加賀美ハヤトさんの代表曲としたように、加賀美ハヤトさんの塊みたいなアツいステージだったな……。今回もSitR福岡公演のときと同じく、間奏で我々視聴者に呼びかけてコメント欄を沸かせた。
以下文字起こし
皆様!
どうですか! これが新しい景色です!
えー、約2年前。あるものによって、私たちと、皆様たちの距離は、大きく離されることになりました。でも今日は! ほんの少しですけど、皆様に近づけた気がします。楽しんでください! ありがとう。
(歌詞変)あえてこう言わせてください! この造花は、まだ咲き続けます!
強……。こんなにも力強く未来を提示されたらついて行くしかないんだよな……。豪然とした歌い方と真っ直ぐなメッセージが眩しかった。歌唱もパフォーマンスも力強いのに、こちらに向けられた言葉はこんなにも優しい。「あえて〜」のくだりは元の歌詞の「この造花が枯れるまで」に擬えたもので、まだまだ続けるという意志を感じたし、まだまだ輝き続ける加賀美ハヤトさんの大きな存在感を見せつけられた。『WITHIN』は歌われる場所や機会によって意味が変わる曲のような気がしていて、いつでも今のことを歌う曲だと感じる。今回のライブだからこそ出てきた言葉と声だと思う。箱内初の技術を使った今回のライブで歌ったことで、今だけの輝き方をしていた。
歌詞変は本当にアツかった。ライブで歌詞を変更して何らかのメッセージを伝える手法は、何年も前から使われてきた。これをできるのはオリジナル曲を持っている人ならではだと思うし、今回のARライブという実在を強く感じる場でリアルタイムに伝えられたという感覚、臨場感が凄まじかった。その熱量を伝えられたのは、歌詞変更という方法で視聴者に言葉を伝えられたのは、加賀美ハヤトさんだからなのかもしれない。
開幕スクリームをかます強さよ。なんかずっと喉の強さを見せつけてきてたな。開幕スクリームは宗教上の理由で多用すると怒られる(https://youtu.be/znEpZ-96_TM 12:17あたり)ところ教義をおして叫んでくれてたのかな。忘れてたのかな。加賀美ハヤトさんの歌で印象的なのは、やっぱりこのシャウトだと思う。初見でハードロックバンドのボーカルかというようなシャウトに驚いた人は多いのではないだろうか。私は驚いた。加賀美ハヤトさんの歌唱を代表する技法だとも思っていて、聴くたびに驚かされる。何より、今回は生バンド生配信ARライブ、どこまでも「同じ時間」を共有していた。その場で聴くシャウトは、動画で聴くもの以上の迫力があった。
なのにこんなにも話し声とメッセージが優しい。泣いちゃうな……。ずっと「強い」しか言っていない気がするけど実際強い。誰だよ加賀美ハヤトのこと幼女とか言ったの。
夢追翔さんのオリジナル曲『青空を睨む』は、2021年3月31日にMVが公開された曲だ。冒頭に書いたように、ARライブならではの演出を起用したステージだった。
まず、夢追翔さんが舞台上でうずくまっている。そこに夢追翔さんが歩いてステージに登っていき、歌い始める。夢追翔さんが2人いたのだ。うずくまる夢追翔さんの周りで歌う夢追翔さんとたまにカメラに抜かれて物憂げな表情を見せるうずくまった夢追翔さん。うずくまった夢追翔さんは、ずっとうずくまっていたところを歌詞の「立ち上がれ」に合わせて立ち上がり、立っていた夢追翔さんと共に歌い始める。そして2人の夢追翔さんが最後に手を伸ばし合って(にじさんじ公式Twitterアカウントが上げていたスクリーンショット参照)舞台は暗転する。生ライブなのにMVのワンシーンかのような画がずっと続いた。うずくまった夢追翔さんには定期的にノイズがかかっており、歌詞に合わせて画面自体にもエフェクトがかかる場面があった。これらは紛れもなくVTuber、ARライブ特有の表現だと思う。
最初に2人の夢追翔さんを見たとき、彼が過去にも増えていたことを思い出した。それらはあくまでも「おふざけ」の流れの中であった。今回のようにシリアスな演出で増えることは予想していなかったので、衝撃が大きかった。リアルタイムでその演出を観ていて、うずくまっている夢追翔さんは曲の終盤で消えるのかと私は予想していた。しかし、それどころか彼は立ち上がり、もう1人と手を差し伸べ合った。そこで、夢追翔さんの音楽は、うずくまっていた感情を置いていかないで、それさえも共に歩く音楽なんだ。そう思い当たってボロボロ泣いてしまった。愛してるぞ夢追翔……。
夢追翔さんの歌唱の大きな特徴は、男声から外れる程の高音だと思う。聴くたびに、新しい歌動画が公開されるたびに、たまにゲーム配信中の声でも、高音に磨きがかかっていることを感じる。今回のライブで彼が歌った『青空を睨む』は、その高音を存分に活かしたオリジナル曲だ。2021年の誕生日ライブ(https://www.youtube.com/watch?v=LOndtItIOEE)前にコールの募集がされた際、改めて聴いてその高さに驚いた。出るかよ。その大きな特徴である高音は、音源のみではなく生ライブでも存分に発揮されていた。喉から音源。高音が不快でなく綺麗なのは才能だけでなく努力の成果だと思うし、あのパフォーマンスを一つの作品として完成させることができていたのも今回のARライブまでの練習量が窺い知れる。その後の振り返り配信でも語っていたように(https://www.youtube.com/watch?v=w3zhAUouwIg 52:25あたり)彼はたくさん練習を、努力を重ねてきた。
努力の人であることは周知の事実だが、その努力の過程と実を結んだ結果を見せてくれるのが今の夢追翔さんだと思う。今回のARライブのステージを観て、強く「応援してきて良かった」と感じた。
le jouet3人揃っての音楽活動は1年以上ぶりだった。3人で歌唱した曲は『Viking』。るじゅえの新しいオリジナル曲であることが最速感想放送で明かされた。
Vikingとは、8〜11世紀に西ヨーロッパ沿岸部に多く見られた所謂海賊である。そんな単語を題名に据えたこの曲は、加賀美ハヤトさんの登場とともにシャウトで始まった。シャウトのあとに加賀美ハヤトさんが「c’mon!」と言うのに合わせて、緑仙さんと夢追翔さんが登場する。召喚かな?
曲のラストで荒々しい歌唱から打って変わって加賀美ハヤトさんが恭しくお辞儀をする場面があった。礼儀正しく物腰柔らかな普段の加賀美ハヤトさんが、歌唱となると豪健な歌声を振りかざす。まさにそれを表していると直感した。綺麗なお辞儀。ライブの最後に全員が上部のカメラに収まっていたときも手を振ったあと最後の最後にお辞儀をしていた。社長。
ライブ中はにじさんじ公式Twitterアカウントがリアルタイムに歌唱中ライバーの名前と曲名をツイートしていた。2人以上いる場合のライバーの名前の並びは、50音順がデフォルトだった。しかし、るじゅえの曲だけるじゅえの配置(夢追翔、緑仙、加賀美ハヤト)だった。理由はわからないが、ありがとう公式。
加賀美ハヤトさんと夢追翔さんが『Viking』を歌い終わったあとにはけていって、ガッツポーズをし合ったのがカメラに映っていた。夢追翔さんの振り返り配信(42:30あたり)で映っていると思わなかったと話していたことから、あのやりとりは素でステージの成功を讃えあっていたものらしい。仲良し。
様々な要素がある曲だった。激しい曲調を主としてラップパートやスローテンポな箇所などの要素が1曲の中に詰め込まれていた。後日の夢追翔さんの振り返り配信(1:02:15あたり)で、作曲者ぼっちぼろまるさんに作曲の依頼をする際に「3人の良いとこ取りをしたい」と相談して作られた曲であると語られた。3人はそれぞれ全く違う特長を持っていて、その特長が前面に押し出された曲だった。それぞれの特長に圧倒される曲で、るじゅえというボーカルユニットは1人1人が歌手として大きい存在になっているのだと改めて思った。
緑仙さんの振り返り配信(https://www.youtube.com/watch?v=SCZ389g4hl0 29:20あたり)で「生バンドで、3人で歌うってなったら、まあ何が良いんだろうってなったときに」決めたと言われていたように、バンド演奏映えする曲だった。月並みな言葉で言えばめちゃめちゃかっこよかった。タイムシフトで何度聴いても聴き入ってしまうし、全編スクショOKの意味が無いくらいスクショを忘れる。
この曲を生バンドで、ARライブで、リアルタイムで聴けて良かった。ライブのときはオリジナル曲だと発表しておらず、誰も知らない曲だったのに微妙な空気にしない強者すぎるユニット、るじゅえ。『Viking』はこれからサブスク配信とMV制作が予定されてるんですか……でも具体的な時期は未定と……3年までなら待てます。楽しみ。
緑仙さんのパートは、スローテンポなソロパートが印象的だった。緑仙さんの歌唱で場の空気ががらりと変わる。1人でも完成された歌声ではあるが、コラボ曲だとコラボ曲の良さがあってコラボ相手の良さと共に緑仙さんの歌唱がいっそう際立つ。緑仙さんは高音が本当に綺麗で、他にはない声と歌唱、大人2人がいることによる安定感を感じられて良かった。
夢追翔さんの持つ爽やかさの塊のような声は、軽やかに聞こえるが音圧は強い。公式設定で声が大きいお兄さん。今回の曲では曲調のせいかそれが感じられる場面が多々あって良かった。また、歌い方のバリエーションが増えているようにも思えた。彼の日々の努力を感じられる場を得られて嬉しい。
加賀美ハヤトさんの振り返り配信(https://www.youtube.com/watch?v=UbCyHTlrQ7w 33:37あたり)で「私寄りの曲」と言っていたようにかなり加賀美ハヤトさんに合っている曲調で、激しい歌い方が似合っていて格好良かった。加賀美ハヤトさんの堂々たる歌声は本当に凄いんだ。
ハモリの部分は全て心地良かった。ライブで初披露された曲だから視聴者は正確な音程を知らない。生ライブなら多少なりとも音程を外すことはありそうだが、ハモリが綺麗すぎてそれも殆どなかったのではないかと思う程だった。
『Viking』はユニットの曲というより個が強い曲のように思えた。というのも、先述の通り3人の良いとこ取りをした曲であってその聴こえ方になっていても良い曲なのではないだろうかと思う。しかし、歌詞では「これが僕らの完全なストーリー」「俺らの前じゃ役不足」「We are Viking」など、1人称複数の言葉が使われており、やはり彼らは「ユニット」なんだと思わされた。
聞き取れた部分だけでも歌詞が凄く良かったからはやく歌詞を読みたい。印象的だったのが叫ぶように歌う「We are Viking」というフレーズ。聞き取りやすかったというのもあると思うが、やはりタイトルの「Viking」を彼らが名乗るフレーズは力強く、象徴的で、熱情的だった。めちゃくちゃアツかった。加賀美ハヤトさんの振り返り配信で「船出」の曲と表されたこの曲は、文字通りVikingのように自由なるじゅえの3人を想像させられる。まだまだ彼らには叶えられていない夢や達成できていない目標がある。そのための、或いは次のそれらのための船出。それがるじゅえという最強のパーティの船出なのかもしれない。るじゅえの最強のパーティ感が好きなんだ。また、この直前の「誰にも邪魔させない」という歌詞を聞いて、不意ににじFesのVACHSSステージで加賀美ハヤトさんと夢追翔さんがデュエットした曲『EZ DO DANCE』の「邪魔されない誰にも」という歌詞を思い出した。この3人からは邪魔できない、間に何も入れない程の強い結びつきを感じる。だから誰にも邪魔されずにずっとスピンしてロックするPlaytime Magicを続けてくれ……。
歌詞を聴いていて、ふと、るじゅえのオリジナル曲は夜の歌詞ばかりだと思った。『P.F.M.』では「高架下、夜空はSinging」『Playtime Magic』では「夜はこれから」『Viking』だと「見上げた星空に浮かぶ願い」(他にもある曲はある)と、過去3曲のオリジナル曲全てが夜に関する歌詞を持っている。3人それぞれにとって夜が何を意味するのかは解釈の余地だと思っているが、個人的な印象で言えば歌詞から受け取る印象は明るいものが多い。「船出」という言葉と照らし合わせてみると、彼らの進む先、見据える未来は明るいような気がする。それは個人としての未来か、ユニットとしての未来かはわからない。ただ、3人それぞれの振り返り配信を聞くに個人としてもるじゅえというユニットとしても前向きな感情を持っているように思えた。
le jouetというボーカルユニットが好きだ。それぞれ並外れた歌唱力を持っていて、それぞれの方向性で音楽活動に励んでいて、それぞれ目指すところがある。仲が良くて、音楽が好きな3人。私は彼らが組んだるじゅえというユニットを愛している。
DAY1のチケット買って良かったな。
追記
>>『Viking』はこれからサブスク配信とMV制作が予定されてるんですか……でも具体的な時期は未定と……3年までなら待てます。楽しみ。
3年って結構具体的な期間挙げたつもりだったんだけどな……(歓喜)。