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未来への希望に会いに行った夏

 人生で初めてライブに行きたいと思った。

2022年 7月31日
THE ALFEE
2022 Summer Genesis of New World 夏の天地創造



⚠️ライブレポとも言えないオタクの感情の記録




 初めてライブに行くということでとても緊張していた。今まで好きなバンドはあってもライブに行きたいと思ったのは初めてだったので、当然チケットの取得も会場へ向かうのも初めてだった。規制入場の入場時間より少し早く到着して遠目に人だかりを見つけたが、近づくにつれてその人だかりが自分の並ぶべき列だということに気付いて驚いた。
 行きたいと思った時期が少し遅かったため、追加分の機材解放席だった。三階席高見沢俊彦さん側。『今日の続きが未来になる』メッセージ動画( https://youtu.be/GjUhnX2cOT0 )での高見沢さんの「アルフィーの席にいい席悪い席は無い!」という言葉とK's TRANSMISSIONでの棚瀬さんの「追加分は決して少なくないので申し込む価値あり」という言葉に背中を押されて購入した席だ。席を見つけてステージ側を見てみると、センターステージへの花道がよく見えた。いや近。ちっか。画面越しスピーカー越しの距離感からいきなりこの距離は近いだろ。十分近いよ。
 年上の女性の方が多いであろうことは予想していたがなんだか浮いているような居心地の悪い気分をごまかすために向かいのスタンド席やアリーナ席を見渡した。一万人という人数を目の前にするとこんなにも多いのか、とぼんやり思う。メモリアルグッズのリストバンドがアリーナ席のそこかしこで反射してキラキラしてきれいだった。ミカエルの剣(ペンライト)は持っていなかったが、会場内で所々点灯させている人がいた。Twitterで見かけてはいたが噂以上の光量だった。めちゃめちゃ明るい。どこで点灯していてもわかる。防災グッズになると言われていたのもうなずける。私はペンライトを持っている人に心で負けないように振り上げるであろう右腕にメモリアルグッズのリストバンドを着けた。
 厳かな音楽の中でサウンドチェックの音が聞こえた。現実感が無い。自分が三次元のアーティストを(普段はアニメやゲームのオタクをしている)ここまでの熱量で好きになって一人でライブ会場に来ているという事実がまだ信じられなかった。

 絶対開幕で『天地創造』が来ると思っていましたよオタクは。だって夏の天地創造だもん。予想はしていた。予想は。
 でも実際にセンターステージに三人が表れて前奏が始まったら予想が的中しても何も意味がなかった。だっていつでも最新の彼らが一番美しいから。周りのファンの方々が立ち上がるのに合わせて立ち上がり、初めて肉眼で三人の姿を見た。一面のミカエルの剣の光がきれいだった。
 THE ALFEEが目の前にいた。
 高揚しつつあった気分を『天地創造』で一気に引き上げられて、周りの真似をしつつ拳を上げてみたり様子を見たりしていた。『天地創造』で伸びやかな桜井賢さんの声を聴くことができてもう既に元が取れた。これを聴きに来た。六月に私が惚れた歌声、それ以上の、その時の桜井賢の歌声を聴いた。最強の桜井賢。
 息をつく間もなく二曲目に突入したが、前奏を聴いて驚いた。THE ALFEE最初のヒット曲らしい(当時まだ生まれていないので伝聞形)『メリーアン』だ。まさか聴けるとは思っていなかったその意外な曲に驚きながら聴いていたが、サビでまた驚かされた。『メリーアン』でも拳上げるんだ……。私は歌詞を読むタイプのオタクなので『メリーアン』についてサウンドは静かでないにもかかわらず静かな曲であるという認識を抱いていた。ドラムの音に合わせて拳を上げるファンの方々に倣って、自分も拳を上げた。セトリ開幕からぶっ飛ばしてるな……。
 三曲目もまだまだ飛ばす。『Orionからの招待状』は個人的にとてもとてもとても好きな曲だしスイッチボーカルのかっこよさが前面に出ている曲なので聴くことができて本当に嬉しい。月の女神を見てしまった。
 『二人のSEASON』も特に聴けてよかった曲の一つだ。四十八年という長い活動年数の中で曲数は数百にもなる。この曲は夏のイベントの少し前にTwitterのフォロワーの方から教えて頂いた曲。教えて頂いて以来気に入ってよく聴く曲の一つだ。歌詞の質感と高見沢さんの高音ボーカルが好きな曲だが、ライブ映えとでも言うべきか、とても楽しんで曲を聴くことができた。例の台詞部分ですが「すきだぜ~」という感じで幼さというかお茶目さというか、そういうとこやぞ! そういうとこやぞ!! 好きだ……。
 『My Life Goes On』は初めて確信を持って「この声が坂崎さん」と認識した曲なので、個人的に思い入れがある。この曲は坂崎幸之助さんの歌声が本当に優しくてきれいでセンターステージにあたる光以上の後光のような何かが見えた気がした。輝きすぎている。
 グッズ紹介のあとの「(スイーツのように)甘いラブソングを……」で坂崎さんと高見沢さんがじゃれたあとに『あなたに贈る愛の歌』は不意打ちが過ぎないか……? さ、さっきまで恋も知らない少年のようにじゃれ合っていたじゃないですか。この曲は個人的な話で言えばなぜか異常に心に刺さって好きな曲だけどまさかライブで聴けるとは思っていなかったから本当に驚いたし本当に嬉しかった。最も強く丁寧に感動的に真っ直ぐに高見沢俊彦の愛を受けられる曲だと言っていいくらいの曲だと思う。まさか甘いラブソングがこの曲だとは思わなかった。ありがとう……私にはあなたたちしか見えない……。
 合掌でもして噛み締めようと思ったらそんな隙を与えはしない『星空のディスタンス』。私が最初に知ったALFEEの曲。代表曲とも言えるこの曲の何が衝撃的だったって冒頭の生声。ライブでは冒頭サビで歌うということは配信音源で知っていたけどまさかマイク無しアカペラで歌われるとは思わないじゃん。思わないじゃん。しかも収容可能人数五桁ある会場でたった三人の声で。強すぎる。『星空のディスタンス』なんて前奏から後奏まで全部最強にかっこいい曲なのにそんなことされたらかっこよさが上限を忘れてどうにかなるぞ。俺が。あと個人的にとても印象に残っているのですが「Five hundred miles」で観客がみんな五本指掲げるの、驚き以上に感動した。オタク(一人称)は統率の取れたオタクが大好き。ライブでの曲としても最高の曲調でこの辺りでだんだん拳を上げることに慣れてきた。
 組曲というものを出すバンドがあることに驚いた覚えがある。『組曲: 時の方舟』ほどの長尺の曲をライブで聴くことができるとは思っていなかったのでとても驚いた。
 それに続いた『明日の鐘』も同じく長尺の曲だ。この曲はこのライブで初めて聴く曲だった。この曲はドットイメージの演出がとても印象的に思える。まるで三人のメタファーと言わんばかりの三羽の鳥のような演出が趣深かった。初めて聴いた曲だったが、壮大な雰囲気の音と高見沢さんの歌声に聴き惚れてしまった。壮大なのにどこか儚さを孕んでいるような美しさがあった。背後に羽が見えた。ここで演者が一度引っ込んだことや三羽の鳥の演出も相まって放心状態のようになってしまった。

 再登場して衣装が変わっていると思ったらそのイントロを聴き間違えるはずがない『Funky Cat』。怪しげなサウンドに合わせてドットイメージの眼が開いていく。開眼。もうだめです。ハンドマイクでステージに立つ坂崎幸之助を見にきた。説明不要。花道を歩く姿が堂々とし過ぎている。神がいるのならなぜ神はこの人に音楽の才とステージ上で客席を煽る技能まで与えたのか。その脚が俺を狂わせる。えび、ばでぃ、せいで客席煽る坂崎さんにマジで燃えて「Hey!」のときめちゃめちゃ気持ちよく拳上げられた。ラストの高見沢さんとのキャットドッグファイト唐突過ぎて笑ったし強そうな方の高見沢さんが「怖い、負けた」って撤退してしまうのは避けてきた表現だがもうかわいいとしか言いようがない。あまりにかわいい。坂崎さん猫の真似も上手いのは何? 何でもできるじゃん。噂に聞いていたハンドマイク坂崎さん本当にめちゃめちゃかっこよかったな……。狂っちゃうな……。
 ライブで正直聴けるだろうと思っていてとても楽しみにしていた楽曲『SWEAT&TEARS』。過去にTwitterの鍵垢で「SWEAT&TEARS自分でも訳わからんほど好きだし普通にその辺で流したくないし心の中に大事に抱いて聴くたびに泣いてたいんだよな。ライブで聴いたら死ぬ?(ほぼ原文ママ)」と呟いていたような曲。ライブ定番曲らしい。『SWEAT&TEARS』の歌詞の「Ah おまえと同じ時代に生まれて〜」のところが自分に刺さりすぎる。THE ALFEEという遥かに歳の離れた人たちを好きになった現在にしっくりきたから好きなのかもしれない。まあそんな歳の離れた方々が三人並んでヘッドバンキングしていたわけで……あのヘドバンも見られてよかった……。高見沢さんの書くメッセージソングというものがとても好きだから、この曲の背中を叩いてくれるような歌詞も好き。『SWEAT&TEARS』では高見沢さんが客席全体細かく一人一人に向き合うように視線を配りながら拳を上げていた。自分も同時に拳を上げたとき、高見沢俊彦と確かに通じ合ったような気がしたんだよな。気がしただけですけどね。拳を掲げ合って繋がっているような気がした。同じ時代に生まれて確かに同じ時同じ瞬間を共有していた。それだけは紛れもない事実。

 何故かずっと高見沢さんの書く学生運動の概念に惹かれる。高見沢さんが学生運動についての歌詞を書いていると気付いた曲が『Rockdom-風に吹かれて-』だった。初めて聴いたときから聴き入ってしまった曲。私にとって大好きで大切な曲の一つだ。夏イベの少し後にきょうだいに「その曲君がずっと流してるからメロディ覚えてきた」と言われた。
 桜井さんの精悍な歌声でボブ・ディランさんの『Blowin' in the Wind』が聞こえたときには、一瞬理解が追いつかなかった。それに続いて、幾度となく聴いた前奏。『Blowin' in the Wind』の邦題は『風に吹かれて』だと思い当たる。
 まさかこの曲を聴けるとは思っていなかった。『Rockdom』だと気付いた瞬間に拍動が早まったのを感じた。まさかそんな都合がよすぎる。これを聴けるとは思っていなかった。幾度目かのその思い、ラスト曲の寂しさ、三時間近く舞台に立って少し掠れた声、それでも変わらず世界一かっこいい三人の姿。全てが鮮明な記憶として刻み込まれる。俺たちの時代を忘れないで。マスクの中で口の動きを重ねた。




 どこまで好きにさせてくるんだこの人たちはと思いました。
 桜井さんが最初ちゃんとスーツで出てきて再登場したときにジャケット脱いでベスト着てた上に腕まくりしてたのが謎に嬉しくて笑顔になってしまった。あんまり大人しくなさそうな格好ワルめの雰囲気めちゃめちゃいい。暑くないのかな。
 いちご泥棒は知りませんでした(ガチ無知)。坂崎さんアナウンスでのファッションショーの流れで一人だけ走らされるの笑ってしまった。あれ後から知ったけど以前の無観客ライブでやった流れを汲んでたんだね。これからいっぱい歌うみたいだけど体力大丈夫? となった。
 高見沢俊彦のライブ衣装を見られるということも今回の参戦で楽しみの一つだったのですが登場した瞬間に視線を奪われた。あの瞬間高見沢さん以外見られる人いるんか? 青の貴公子、白マント。あれっ、天使の方? 月の女神なんだよなやっぱり。
 アンコール衣装では三人とも脱いでた(語弊)。高見沢さん真っ赤なスパンコールでノースリーブでサングラスで羽生えてたな……。

 ギターには詳しくないのですが光るエンジェルギターを直に見ることができてよかったです。なんですかあれは。あと途中で坂崎さんがダブルネックのギターを使っているのも見られてよかったです。

 噂に聞いてはいたがステージ上の坂崎さん本当に最強だな。ピック投げ見られて心臓止まりそうになっちゃったもんな。三階席でも全然遠いと思わなかったのは会場のつくりもだし坂崎さんが会場全体に視線を配っていたことも理由だろうな。
 双眼鏡も使っていたんだけど無くても楽しめたしあってよかったな。グッズ紹介のとき一番使った。
 これはおそらく異質なことなのではと思ったものがMC中の笑い声のSE。客席が笑い声を上げられないということからだとは思うけど本当に笑いを重要視しているんだな……と思った。
 拳を振り上げるのが本当に楽しくて、始まる前に「棒立ちになっちゃうかもな……」と思っていたのが信じられないほどだった。グッズがリストバンドだったからか、光り物を持っていなくてもライブに参加している感があって本当に楽しかった。
 アンコールのラスト『Rockdom』のあとに三人で肩を組んでお辞儀をするやつ、コロナ禍でできていなかったらしいと聞いていたので見られて嬉しかった。ライブで見ることができる姿というものをそこに見た。どうやら春ツアーでもやっていなかったらしく夏イベだから見ることができた光景だったらしい。嬉しいね。

 初参加ということで事前に調べて知っていた坂崎さんの「初めての人」のやつに手を挙げてきた。人生のうち今まで受けてきたどの授業よりも真っ直ぐ手を挙げました。坂崎さんのみならず高見沢さんもこっち向いてくれて嬉しかったな。目合ったわ完全に(ファンサは勘違いしたもの勝ち)。同時に聞かれていたけど両日参加率が高くて驚いた。電車から降りたとき結構前日のメモリアルグッズ着けてる人いたもんなあ。前日からセットリスト半分近く変えていたらしいけど両日参加率の高さが一つの理由なのでは。
 MCは予想より短い(というか曲数が多い)と感じた。「(『My Truth』とかけて)ずっと音楽をやり続けることが真実」とか「(『明日なき暴走の果てに』の歌詞とかけて)未だゴールは見えず」とかいい言い回しするし続けることを強調してくれるのとてもありがたいし嬉しいなと思った。
 何より「THE ALFEE銀行は破綻しません! 」というのが強かったな。夏イベ直前の水曜日にラジオ『THE ALFEE 終わらない夢』で「皆さんの青春を預かってますからね」と言っていた高見沢さん。安心して青春を預けられる。

 これはTwitterをやっていて結構わかっていたことなのですが、ファンの方が大抵新規に優しい。
 一回目のアンコールの前の小休憩みたいな時間で隣の席の方が「初めてなんですね」って話しかけてくれた。その方は最後も「楽しめましたか?」って聞いてくれたし「またよかったら」とも言ってくれたので本当に嬉しかったな……。あの「初めての人」の挙手のお陰なんだけどやっぱ初ライブ一人参戦不安だったし話しかけてくれる人がいてとてもいい環境に恵まれたという感じだった。
 ライブでの動きとか拳を上げるとかちゃんと聴くとか着席するしないとか振りのある曲『D.D.D! ~Happy 65th Anniversary for Donald Duck~』の振りとかも周りの方々を見てやっていた。統率の取れたファンがいるコンテンツはいいコンテンツ。これは個人の思想。さっき触れなかったけど『D.D.D!』踊る高見沢さんがかわいすぎて永遠に見ていられた。本当にかわいい。本当にかわいい。
 ファンの方の話で言うととても印象的だったのが終演後に三本締めと万歳三唱(唱和はしていない)をやっていたこと。あんな大きな会場で急に示し合わせたかのように手を叩き始めて万歳まで始めたので感動してしまった。すごい文化だな〜と思った。あれを全員舞台上からいなくなったあとにやるのはすごいことだなと思う。本人たちの指示じゃなくて自発的にやっていることなのかな? 調べたらこれも恒例のことらしい。いつからなんだろう。新規オタク(一人称)は一緒に手を叩けて嬉しかった。
 本人たちも自分達たちのファンを誇っているというようなことをよく話しているし、自分もファンとしてALFEEさんに恥じない者でありたいと思った。

 現地ライブというものに初めて行って、また参加したいと思ったしTHE ALFEEというバンドを更に大好きになった。ライブに行く前「会いに行く」っていうのがしっくりこなくて「観測しに行く」って言ってたけど「会いに行く」で合ってたかもしれないな……。
 THE ALFEEというバンドを知って、たった数ヶ月でここまでの熱量をもって好きになっていることを誇りにすら感じる。自分にとってTHE ALFEEというバンドは未来への希望。
 THE ALFEEを好きになって、彼らの年齢を知って、歳取ってもこんなパフォーマンスができて、こんなにかっこよくて、こんなに楽しそうで、こんなに美しい人たちがいるんだって思った。一種のエイジズムかもしれないけど。
 まあもちろん歳なんて関係なくかっこいい。でも、ここまでの長い年数活動していてここまで輝いている彼らは自分にはものすごい希望になった。歳を重ねることへのぼんやりとした不安を抱えていたのが少し軽くなった。世界一かっこいい前期高齢者バンドを知ったから。
 だから「THE ALFEEとか昔のバンドじゃんw」とか言われても自分にとってTHE ALFEEは未来への希望なんだよね。
 ライブに参加して更にそう思った。
 初めてTHE ALFEEのステージをみて、心から、より強く思った。この人たちが希望。未来への希望。

 THE ALFEEを好きになってよかった。
 きっとまたライブに行くと思う。

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