月ノさんのノートを読んだ人のnote
月ノ美兎(以下委員長)のエッセイ『月ノさんのノート』を読んだ感想。
ネタバレはほぼ無いので、興味はあるが持っていないという方は購入して委員長に印税をスパチャしてください。
委員長も意外と普通の人間なんだな。
こう書くと、何らかの失望を覚えたかのようにも見える。面白い人で、他の人とは違うと思っていたのに、なんかガッカリ。そんな文に見えてもおかしくない。
逆だ。一行目の文は、『月ノさんのノート』を読んでいる途中に思ったこと。読み終わった後に浮かんだ言葉は、インターネットにいるオタクなら一度は目にしたことがあるであろう言葉「おもしれー女」だった。
自分は、月ノ美兎というバーチャルライバーを二年半ほど推している。彼女の活動を応援しているというよりは、彼女の提供するコンテンツを楽しませて貰っている。初めて動画を観たときから今まで、幾度となく「おもしれー女」だと感じてきた。この「おもしれー」には、愉快であるという意味以上に「興味を惹かれる」という意味が多く含まれているように思う。
その「おもしれー女」を、意外と普通の人間なんだと思った。委員長は、やることが常識離れしていて、自分のやりたいことをやる行動力があって、世間一般人並みと言われるところから少しズレている、そんな人だと思う。しかし、その認識は少し違ったのかもしれない。委員長も所謂人並みの嫉妬や怒り、苦しみを持つ。勿論彼女のことを完全無欠人間だと思っていた訳ではないが、どこか自分と遠い存在だと思っていた節がある。
エッセイとして文章に整理された形で委員長の話を読んでみると、委員長は当たり前だがそこらにあるような感情も経験していて、それらを経た上で月ノ美兎になったのだと思った。月ノ美兎は何か普通じゃないものを集めてできたのではなく、所謂普通も月ノ美兎を構成するものなのだと思った。守るべきラインは見極めることができる人だと思うし、異常者のように見えて常識がある人だとも思うが、うっかりそれを忘れていた。というか、たまに忘れてしまう。コンテンツ月ノ美兎より前に人間月ノ美兎がいることを、委員長に限らず忘れてはいけないと思った。肉をレジンで固めたものの話をしたり謎の動画がチャンネルに上がったりするから忘れがち。
懐かしい話題も出てきて良かった。過去の放送で聞いたことがある話のより深い内容だったり、あることの裏で起きていたリスナーが知り得ないことだったり。そのままでも面白いけど、ファンこそ面白い内容だと思う。レポ雑談では表現されないこともある、委員長がその場で感じたことや思ったことも書かれていて、文字と音声の違いだけでなく表現されることも違ってそれが面白かった。
本として世に出るものだから、文法は基本守られていた。それなのにインターネットのノリ……というか、委員長のノリをそのまま持ってきた文章で、読んでいてすごく楽しい。『電車男』の本を読んだときと似た気分。特に視聴者(今回は読者)に向けられた文章は委員長の口調そのままで、脳内再生余裕だった。箱の話はゾッとした。
今回『月ノさんのノート』を読んで、より委員長のことがわかったようなそうでもないような。より委員長の解像度が上がったようなそうでもないような。ネタバレ無しの感想は意外と難しい。
読み終わって結局何を思ったかはさておき、面白かったし、読んで良かった!
全部読んじゃったけど、今からでも職員室に届けたほうが良いかな……。