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育てて、食べる、地球1個分の暮らし。どろんこ村で体験したいのちの大切さについて【No 農 No Life × NIPPON TABERU TIMESコラボ企画・農業体験レポート】

愛知県の田原市にある渥美どろんこ村。農業を通じて持続可能な社会を作っている場所です。

いのちと向き合い、動物や自然と対等に向き合って生きていく大切さを問いているのが印象的でした。

渥美どろんこ村では、有機野菜の栽培から出荷、畜産(豚・鶏・やぎ)、農家カフェや菓子の製造をしています。どろんこ村の生産と暮らしを体験できるファームステイなどの受け入れなども実施しています。

小笠原弘(おがさわらひろし)さんは、田原市内の農業高校を卒業後、小笠原さんの親の農業を継がれたそうです。当時(1970年代)は慣行農業という、農薬をたくさん使用して大量生産する手法だったそうなのですが、それに対して違和感を感じた小笠原さんは、農薬や化学肥料を使用しない有機栽培を取り組むようになりました。

今回は地球1個分の暮らしを提唱している、どろんこ村の暮らしと取り組みについて尋ねました。

〈No 農 No Life × NIPPON TABERU TIMESコラボ企画〉
「No 農 No LIFE」 の頭文字をとった「ののの」は1泊2日から気軽に農業ワーケーションができるサービスを提供しています。
午前中は太陽のもとで農業をして、午後からは観光でも仕事でもなんでもOK!
「農」への仕切りを限りなく低くし、より多くの人達に農の魅力を伝えていきたいと想い活動しています。今回は農業ワーケーションを体験しつつ、TABETAI短期ライターとして受け入れ先の生産者さんを取材しました!

書き手:森岡

写真提供:渥美どろんこ村さま

〈プロフィール〉
小笠原弘(おがさわら・ひろし)さん
どろんこ村代表。渥美半島の専業農家の家に生まれ育つ。10年、20年先を見据えた有機農業を提案する。ファームステイのモデルケースを作り、若い農家の育成も行っている。

渡部千美江(わたなべ・ちみえ)さん
弘さんのパートナー。どろんこ村でとれたヤギのミルクと鶏の卵でフォンケーキなどを焼き、畑のケーキ屋さん(農家カフェ)で振る舞っている。

渥美どろんこ村
どろんこ村は大きなくくりで言えば、愛知県の渥美半島にある農家です。
でも、私たちの考える農業はただ生産するだけではありません。育てることも、美味しく調理・加工することも、届けることも、伝えることも、共に考えることも、食に関わる全てのことが有機的につながったのが農業だと思っています。
有機の野菜生産や、養豚、カフェ、教育体験事業、農業後継者と農に関わる多様な人材の育成など、農の現場から持続可能な社会を目指して、幅広い事業をしています。
暮らしも仕事も、趣味も娯楽も全部ひっくるめた、そんな営みを送っているのが渥美どろんこ村です。

引用: https://doronkomura.hp.peraichi.com/ 

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簡単に手に入れたものは、簡単に捨ててしまう。

どろんこ村のオーナー小笠原さんと渡部さんは地球1個分の暮らしを目指しています。
その実現に向けて、どろんこ村では県内外から子どもだけでなく大人も受け入れるファームステイに力を入れています。どろんこ村での、自給的かつ循環した持続可能な暮らしを、ファームステイを通して追体験してもらうことが狙いです。スーパーに行くと、たくさんの青果やお肉が陳列されています。大量にあるからこそ、簡単に手に入ってしまうが故に、そこに陳列されているものが人間と同じいのちある生き物だったことの実感が湧きにくい現代。

簡単に手に入れたものは、捨てることも簡単にできてしまうのが当たり前になっています。このような日本人の暮らしが続いてしまうと、地球が2.9個分必要になると言われています。

地球1個分の暮らしをする第一歩は、「他者のいのち」を感じること。野菜はもちろん豚などを自分で育てて、それらをいただき、もし食べ残しが出てしまったら豚のエサにする。

豚のフンは野菜を育てている畑の肥料として活用して、野菜を育てる。人間も、野菜も、動物も、食べるという行為でいのちを繋ぐ、対等な存在であることを実感してほしいとオーナー夫妻は語っていました。

地球1個分の暮らし

「地球1個分の暮らし」とは、文字通り、地球が1個で足りる暮らしのこと。少し噛み砕くと、他者と共生する社会づくりと身の丈にあった暮らしのこと(HPより引用)。

「他者」とは、自分以外の生きもののいのちのこと。「いのち」とは、単独では存在せず、「時間」「空間」「エネルギー」のつながりの中で存在しているものであり、次の世代を育てる力のこと(どろんこ村note参考)。

どろんこ村は、「育てて食べる循環」を通して地球1個分の暮らしを目指しています。お米や野菜を作り、家畜を飼う。これは、農耕が始まった弥生時代から続く暮らし方です。

ファームステイなどで、自然やいのちの営みを学びながら、持続可能な社会を作る意識が育ってほしいという思いの元取り組んでいます。

食の現状を体験することが、一番の学びであり、価値につながる

どろんこ村では、有機農業の取り組みだけでなく、ファームステイを通した教育にも力を入れています。
ちなみに、どろんこ村が考える有機農業とは、ただ無農薬野菜を生産して売る農業ではありません。生産、加工、流通、販売、そして人との交流まで、全てが有機的に結びついていることを有機農業と捉えています。

例えば、どろんこ村は豚を飼育しています。ファームステイをしている時に、どろんこ村の養豚場へ行き、エサやりの体験をします。

豚に与えるエサの構成は大きく分けて2つ。1つはどろんこ村でとれた有機野菜や人間の食べ残し。

もう1つは、子どもたちにも馴染みのあるバームクーヘンなど、大量廃棄される予定だった菓子類。「有機野菜だけをエサとして与えていれば、有機豚として認定されてブランド化できますよ」と、とある担当者に言われたにも関わらず、あえて廃棄される予定の食べ物も与えています。

その背景には、将来を担う子どもたちにとって身近な食べ物が食べられずこんなにも廃棄されてしまう、現代の日本社会の食の現状を体感してほしいからそうしているとのこと。どろんこ村は、「究極の安全」よりも「子どもたちの体験」に価値を置いています。

「教育」というワードは、学校の先生のような、誰かから(上から)教えること捉えがちですが、どろんこ村では子どもたちを含めファームステイにくる人たちが体験して実感してもらうことが、一番の学びであり価値に繋がると考えています。

本当の豊かさとは

どろんこ村が大切にしている「地球1個分の暮らし」。その背後に込められたメッセージがあります。本当の豊かさとは、お金や地位などではなくて、私たちの日々の「暮らし」である、と小笠原さんと渡部さんはお話ししていました。

本当の豊かさは「暮らし」に詰まっていて、「暮らし」が生きる喜びに繋がっている、というお話がとても印象的でした。

これからを生きる若者へメッセージをください、と小笠原さんと渡部さんに伺うと、「その人なりに考えてみてほしい。自分で決めていく、ということに全てが詰まっていると思うから」と2人が口を揃えて伝えてくれました。

どろんこ村に滞在して、農的暮らしを体感し、小笠原さんや渡部さん、そしてどろんこ村を支えるメンバーたちや、どろんこ村の滞在中に出会う人たちとたくさん対話を重ねる。

そうしたどろんこ村での暮らしを通して、自分の気づきや感情、感覚を、しっかり味わい、考えるきっかけにしてもらえたら。そう語る2人の目が、慈愛や期待に満ちていたように感じました。

どろんこ村は、これからを生きていく若者のために、新しいプロジェクトを立ち上げようとしています。
「僕らの暮らしを、暮らしとはどんなものなのかを次世代に伝えていきたい。そして、追体験をしてほしい」という思いのもと、農的暮らしや農業に関心のある若者が、自立して、持続可能な暮らしができるような仕組みづくりをしています。

若者たちの自主性を大切にして、その人たちが挑戦したいことをどろんこ村のフィールドを使いながら実践していける、そんな場作りができたらと思いながら、日々構想を練っています。

滞在先で体験したことについて

どろんこ村に滞在している間、農作業のお手伝いはもちろん、どろんこ村が主催するワークショップに参加したり、どろんこ村のみなさんと一緒にご飯を作って食べたり、私が料理を振る舞ってみなさんと一緒に食べたりと、とても充実した日々を過ごしました。

農作業のお手伝いでは、草抜き、キャベツとブロッコリーの収穫や出荷を体験し、ワークショップでは籾まき、代かき、田植えを体験しました。

普段はリモートワークをしているので、土を触ったり、体を動かしたり、仕事以外の人たちとフラットな関係でお話しできる農業×ワーケーションは心身のリフレッシュにも繋がりました。

私の普段の生活ではなかなか経験できないことが体験できて、とても貴重な時間でした。そう思うと同時に、昔から日本は農業と暮らしが密接に繋がっていたにも関わらず、現代社会では農業と暮らしがここまで分断され、生産者と消費者の関係性が当たり前の社会になってしまったことに、どこか寂しさを感じました。

普段食べている野菜や果物、お肉や魚など、食卓に届くまでの間にどんな人たちがどんな思いで携わってきたのか。食材そのものだけでなく、食卓までのプロセスも含めて、しっかり想像して味わえる自分であり続けたいなと強く思いました。どろんこ村からの学びは本当に多いです。農作業のお手伝いをしている時、休憩をしている時、食卓を一緒に囲んでいる時。どんな時も、どろんこ村のみなさんとたくさん対話をしました。小笠原さんと渡部さんからどろんこ村の哲学をたくさん共有していただけたことがとても嬉しかったです。どろんこ村に携わるスタッフさんや、一緒に時間を過ごした仲間たちとの対話からも、自分に新しい学びと気づきをたくさん得ることができ、とても充実した滞在でした。

ただ農作業のお手伝いをする場所ではないのが、どろんこ村の魅力の一つです。農業や農的暮らしに少し関心がある人にとっても、私のように将来循環かつ持続可能な農的暮らしを実践していきたい人にとっても、必ず学びがある場所です(ですので、2-3日のような短期滞在ではなくて、1週間以上の中期滞在を私はお勧めします)。

どろんこ村が大切にしている「地球1個分の暮らし」を心と体で味わい、どろんこ村から受け取ったことを、滞在が終わった後もご自身の日常生活に溶け込ませることができたら、より良い体験に繋がるのではと考えています。

ぜひのののさんの農業×ワーケーション企画に参加して、農的暮らしを味わうことはもちろん、どろんこ村の魅力もたくさん実感していただけたらと思います。

渥美どろんこ村

HP https://www.doronkomura.com/
Instagram https://www.instagram.com/doronko_mura
facebook https://www.facebook.com/atumidoronkomura
note https://note.com/yagibuta/

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のののHPリンク:https://nononolife.com/
のののInstagramリンク:https://www.instagram.com/nononolife


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