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【裏タケノコ王】第6話 タケノコだけで食っていく方法 裏年を克服し“タケノコ専業農家”という職業を生み出した男の物語【前編】

裏タケノコ王シリーズ 第6弾

タケノコだけで食っていく方法

裏年を克服し“タケノコ専業農家”という
職業を生み出した男の物語【前編】

「タケノコを1億円掘った男」風岡直宏さんは、どうやってタケノコだけでメシを食っていけるようになったのか。17年間にわたる汗と涙の試行錯誤を5分で読める記事にまとめました。    

聞き手:森山健太

◆ タケノコ農家の所得

本格的にタケノコシーズン到来ですね!

そんな時に決まって言われるのは「儲かっていいね」だよ。

たしかに「何もしなくても出てくる、元手タダで純利益!」と思う人はいるかもしれません。

そんなうまい話があるかっての。一般的なタケノコ農家の所得(※農協卸しと知り合いへの小売で稼げる額)っていくらだと思う?

う〜ん。

オレの地域(JA富士宮芝川支店)だと、しっかりやっている人でも70万円さ。

それじゃメシ食っていけないですね……。

というわけで結論、農協に出してタケノコだけで生計立てられる個人農家はいません。あまりに安いからです。

あれ、記事が終わっちゃう(笑)

いや、ここからが本題さ。日本全国放置竹林だらけ、誰も参入してこないスキマ産業だからこそ、突破口があるんだ。

◆ 裏年の壁

そもそもなぜタケノコを選んだかというと、オレの地元・芝川で一番有名な農産物が、タケノコなんだよね。今から50年前には、タケノコの缶詰工場が全盛期で地元のタケノコ農家の雇用を支えていた。

▲芝川にかつて存在したタケノコの缶詰工場(「目でみる 芝川の歴史」緑星社より)

でも、中国産の安い缶詰が入ってきて、缶詰工場は閉鎖。タケノコ農家の所得も一気に減った。今ではじいさんがわずかに掘っているくらいさ。

高齢化が進む中山間地の典型ですね。

17年前、クワガタビジネスが下火になってきた。地元の農産物がタケノコということで、商売としてやってみたいと思ったんだ。すると、おっかあが「タケノコはやめときな」と言った。

なぜですか?

タケノコは1年ごとに「出ない年(裏年)」が来るからさ。

◆ かめはめ波は連発できない

「裏年」とはつまり、どういうことですか。

かめはめ波みたいなもんだら?

かめはめ波は連発できない。一度打ったら一度休んでためないといけない。タケノコも同じ。1年出たら1年出ない、その繰り返しなんだ。

どれくらい「出ない」のですか。

表年の25%〜35%くらい。びっくりするよ。去年送っていた常連のお客さんに「今年は出ないから送れません」状態だよね。でも少ないからといって価格を2倍3倍に吊り上げたりはできない。お客さんびっくりしてしまうからね。

「タケノコはやめときな」とお母さんが言ったのは、安定供給が最大の課題ということなんですね。

その通り。だけどその時、ピンとひらめいた!

「出ないときに出せたら稼げるな」と。親父とお袋はタケノコやってたけど、そこまで熱入れているように見えなかったさ。だから努力でひっくり返してやろうと思ったんだ。

◆ 前代未聞のタケノコ直売所

それでタケノコだけで食っていく経営スタイルを模索した結果、はじめたのが「直売所」さ。

なぜ「直売所」なのですか?

お客さんに一番美味しいタケノコを食べてもらうためさ。タケノコは、とれたてがうまい。逆にいえば、鮮度が落ちるのが早いだよね。たとえば、イチゴとタケノコ、どっちが足が速いと思う?実はタケノコなんだよね。トマトの13倍、ジャガイモの46倍、呼吸量が多いと言われているよ。

スーパーで売られているタケノコは市場を経由するから最低2日以上はかかる。つまり、最速で「前の日のタケノコ」しか手に入らない仕組みになっているんだよね。

へー!

じゃあ、本当に美味しい「その日のタケノコ」をお届けするにはどうしたらいいと思う?ひとつ、生産だけでなく販売の労力を引き受ける。ふたつ、全量買取の安全網から出て、売れ残ったら赤字というリスクも引き受ける。

そんなリスキーなことをする生産農家がいるんですか?


いない。そもそも、生産農家がやっているタケノコの直売所なんて、見たことも聞いたこともなかったよね。じゃあ、モデルがないならオレが第一号になるしかない。「その日のタケノコをその日のうちに自分だけで売り切る」をコンセプトに、タケノコだけでメシを食っていくいばらの道を歩き始めたんだ。17年前のことだった。

(前人未到の裏年克服に挑む!後編に続く)

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①店頭販売か、②電話・FAXでの全国配送注文を承っております。お値段は時価ですので直接お問い合わせください。例年、4月中旬がハイシーズンとなります。

①店頭販売
風岡たけのこ園(〒419-0315 静岡県富士宮市長貫1120 / 営業時間 10:00~17:00 / 定休日なし)

②電話&FAX
0544-65-5005(営業時間 10:00~17:00 /定休日なし )


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