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【イベントレポート】「産地でのフードロスについて学ぶツアー」第2回 船に上がる「カネにならない命」
2018年1月13~14日、青森県蟹田で、未利用魚を扱う漁師・高森優さんから「産地でのフードロス」について学ぶツアーが開催されました。主催者は、食べタイ読者のももさん。ツアーの様子を、全3回のレポートで寄稿いただきました。
書き手:高森 優
◆ フードロス、産地では何が起きている?【Report1】
◆ 船に上がる「カネにならない命」【Report2】
◆「大人の食育」華やかな食材の裏側見学【Report3】
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【未利用・低利用魚という値段の付きにくい魚たちの発生する背景を学ぶ】
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朝6時半。遠くのほうにほんの少しだけ太陽の明かりが見え始めた頃、真っ暗な海に向けて出航。今回のイベント参加者は都内や名古屋から来た20~50代の5名。前日の座談会では0時頃まで飲み食いしていたので、結構ハードな内容。冬の海での体験に、みな徐々に不安も募る……。
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波に揺られながら、網が設置してあるポイントへ。今日はナマコ目的の刺網漁。ナマコの需要は中国でとても高く、ホタテ収穫休期の大切な収入源*となる。刺網漁のため今回は実際に引き上げの作業を手伝うことはできない。時折波に揺られ船が大きく傾くため、各自船体にしっかり摑まり漁の様子を見守る。
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漁師さんたちの無駄の無い動きに見入る参加者。ほんの1時間の漁の間に沢山のなまこや魚、貝などが揚がった。普段海の生物に接することがないため、海の資源は豊かさを実感する瞬間でもあった。
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かごいっぱいに入ったナマコと他の魚を持ち帰る。この時点で「未利用魚・低利用魚」がどれくらいあるのかはわからない。これから高森 優さんの自宅で仕分け・出荷作業だ。
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先ほど自然の豊かさに触れたけど、その反面さまざまな魚が網にかかってしまうため、漁獲量にばらつきが出たり、魚体のサイズが不揃いであったり……よく考えれば納得できる。
普段スーパーで目にする整列された魚とは異なる。海の生物の一部分を切り取れば、ばらつきがあるのは当然のこと。
高森さんがポケマル で販売する「未利用魚セット 」はそういった“海の今”を教えてくれる。また、大きさは異なれど、需要はなけれど、命は命。生活するための漁の過程で掛かってしまう「命」を神経〆した新鮮な状態で届け、輝かせる。海の資源が直接的に生活に直結している方だからこそ、そういった行動につながってくるのだと感じた。
*なぜホタテ養殖だけでは不十分なのか?
環境の変化により水温が高くなり、ホタテの弊死が相次いだ昨年。以前のホタテ養殖であれば、冬の間も水中の養殖施設で引き続きホタテを成長させ、より高単価の「成貝」の状態で販売期間を延長させながら収入を確保することができた。
今はその策では、ホタテが弊死するリスクが高すぎて難しい。サイズの小さなホタテが薄利多売必至の中、安定的な収入を維持するにはより高い漁獲量を目指す必要がある。
季節や環境に左右されない“策”のために長年蓄積してきたデータを活用して取り組んでいるのが高森さん。過酷なだけではない、安定性のある職業として漁業の魅力を高めさらに優秀な人材が漁業に参入してくれればと願う。
(2018.1.19)
※この記事は2018年2月に作成されたものです
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