【裏タケノコ王】第5話 「タケノコ王」はキャラなのか 田舎の農家が全国テレビに出演する理由【前編】
裏タケノコ王シリーズ 第5弾
「タケノコ王」はキャラなのか
田舎の農家が全国テレビに出演する理由【前編】
“オレがテレビに出るのは、もはやオレだけのためじゃないから。”
「静岡のタケノコで1億円稼いだタケノコ王」として、全国テレビで30回以上特集された風岡さん。田舎のタケノコ農家が、なぜ全国テレビに出演する必要があるのか。そこには深い理由があった。
聞き手:森山健太
◆ テレビはキャラなのか
4年目になるし、本当のところを明かしてもいいよね。
ぶっちゃけ、タケノコのお店でテレビを褒められてもまったく嬉しくないよね。
たとえば、ラーメンに真剣に打ち込んでいる職人がテレビに出て、お客さんから「テレビ面白かったです!」と言われて喜ぶと思うか?
そうだら?タケノコに命をかける職人が、オレの本当の姿さ。
それは「タケノコという世界をもっと知ってほしい」に尽きるんだけど、今日はさらに詳しく、そもそもなぜテレビに出たのか、テレビに出て世の中は変わったのか、そしてこの先のテレビ出演はどうするのかの3つについて話すよ。
◆ なぜテレビに出たのか
TABETAIの連載当初から言っているけど、「農家のステータス(社会的地位)を上げるため」だよね。農家って、人の命をつなぐ食べ物を作る価値ある仕事なのに給料が低い。社会から正当な評価を受けていないさ。
全国の農家さんがそうだと思うけど、農業をやる人って、お金だけで仕事選んでいるわけではないさ。オレは農家の三代目、箱根駅伝で言ったら第三走者。先祖から受け継いだ土地を自分の代でやめるわけにはいかないさ。
直売で稼いでいるオレはまだ報われているけど、農家さんの中には儲かっていなかったり、全量市場出荷でお客さんの顔が見えない方も大勢いると思う。
農家の中で主役になる奴がいないよりかはいた方がいい。オレがテレビに出るのは、もはやオレだけのためじゃないから。タケノコ王をきっかけに、農業に人生を懸けている農家がいることに気づいてほしいんだ。
農家から「風岡さんと一緒に仕事をしたい」とファンレターが来るよ。
だいたいさ、名前が“カザオカ”なんてスターじゃない?(笑)
生まれながらにしてスター。オレはタケノコを掘るために生まれてきた。
ここまで自分に自信を持ってひとつごとでバチンとやっているのは、幸せだと思うさ。落ち込んだり媚びたりしないじゃん。それはタケノコへの努力に裏打ちされた自信さ。テレビで藤原紀香さんが来た時もまったく緊張しなかったよね。だからみんなも自分の目指す道を突き進んでほしい。
◆ テレビに出て世の中は変わったのか
—消費者について
テレビ効果で若いファンが増えた。一方で、テレビに出たことで常連さんに「タケノコがおそろかになった」と思ってほしくなかった。常連さんの判断基準は、テレビでなく味でしかない。だからこそ、テレビに出るようになってこれまで以上にタケノコへの情熱を高めたさ。結果的に、常連さんの流出はほとんど食い止めることができた。
いいお客さんとたくさん出会えたよ!
その一方で、若い子が11月に「タケノコないですか」と店頭で聞いてきてびっくりした。桜が春に咲くように、タケノコが春に出るのは常識だよね。一瞬、「大丈夫か、日本滅びるんじゃないの」と思ったよ。
でも良い意味でとらえれば、テレビのタケノコ王をきっかけにこれまでタケノコに興味なかった方が興味を持ってくれたということ。間口が広がっているんじゃないかな。そういう意味で、テレビには本当に感謝してる。
—本当のファンの時代がやってくる
テレビだけのファンはいずれ離れていくだろうね。一回オレのところに来て一緒に写真撮って終わり〜、みたいな。
これからは本当のファンの時代がやってくる。本当のファンとは「タケノコ美味しかったからまた来ました」と言ってくれる人。つまりオレの思いを知ってモノのファンになったお客さんのことさ。
後編に続く
※この記事は2018年に作成されたものです。
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0544-65-5005
裏タケノコ王シリーズ
第1弾 プロアスリート農家
第2弾 ファイトマネー
第3弾 呼吸するフェラーリ(前編)
第3弾 呼吸するフェラーリ(後編)
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