口腔機能探求部(緊急プレゼントあり)
こんにちは奥住啓祐です。今月の口腔機能探求部についてご案内です。また今回はテレビ等でも活躍されている声優さんによるオンラインボイトレセミナーのプレゼントについて紹介します(こちらの企画は終了しました)。
こちらのトランスフォーマーのツイートでもナレーションをされている方で、2020年12月の口腔機能探求部ではゲスト出演して頂きましたね。また詳細は記事後半で(申込み受付終了しました)。
https://twitter.com/TF_pr/status/1314483238715289602?s=20
乳児から高齢者まで
口腔機能探求部では乳幼児の口腔を紹介することが多いのですが、皆さんに紹介している口腔のアセスメントの視点は高齢者のアセスメントにも活用できます。
実際に私自身、介護事業所の第3者評価で事業所を訪問した際、嚥下面の相談を受けることもあり、その際は一般的な摂食嚥下面の助言と合わせて、研修で紹介しているアセスメント、そして口腔へのケアの中からいくつか選択し、職員さんへ提案しています。
特に口腔機能探求部にまだあまり参加できていない方は意外に思うかもしれませんが、歯科医院で生後数か月の乳児の口腔を見て、デイサービスや介護事業所で90歳、100歳の高齢者の口腔を見ていると、両者が共通して持っている課題に気付くことも多いです。
小児の言語聴覚士さんも、成人の言語聴覚士さんも口腔機能という視点で一緒に学び、なかなか学校では学べない口腔専門職としての必要なスキルを底上げしましょう。
口腔機能探求部から始まる多職種連携
若手の言語聴覚士さんのなかには「筋骨格」という視点で口腔のアセスメントを行う事に苦手意識を感じている方も少なくないでしょう。
私自身も当初、口腔について何をアセスメントし、どのように介入するか分からず、結果的に体幹、上下肢等の勉強を行い、「体幹や上下肢等から口腔をみる」という傾向となりました。その経験もとても役に立っているのですが、口腔についての見方が定まってきつつある今では「口腔を軸に全身も見る」という考えに落ち着いています。
口腔機能探求部では、実際に自分の口腔にふれ、セルフケアを行い、口腔内外の変化を体験するという流れで行っていますので、現場での臨床経験のない学生さんでも理解しやすい内容に構成しています。
さて、「口腔を軸に全身も見る」という視点をもう少し一緒に深めていきましょう。
①口腔が変われば身体が変わる、身体が変われば口腔が変わる。
もともと私の口腔研修にはリハビリテーション専門職、看護師、歯科医師、助産師、保育士等、様々な専門職の方に参加頂いてました。
ですので実際の臨床を想定し、STさんとPTさんでペアを組んでもらって、STさんが口腔に介入しているときに、PTさんには口腔の変化に伴う下肢のリアルタイムな変化をアセスメントし、お互いの変化を共有するというワークも行っていました。これは口腔の面白さが良くわかるワークです。
いつも口腔研修の初回に紹介している2つのセルフケア(歯茎を触るワークとうがい)でも同様に口腔の変化が全身に波及し、上下肢の筋緊張が変化することを共有しましたね。こういう経験を自分の身体で得られると、理学療法士さん等他の職種の方との連携のキッカケになると思います。
②身体が変われば口腔も変わる。ただし口腔の何が変わって、何が変わらないかは前後で評価しておかないと分からない。そこが分からないと次のステップに繋がりにくい。
よく見られるケースを紹介します。
口腔専門職が身体のことを勉強し、姿勢やポジショニング等へアプローチしてみて、声質や飲み込みが変わるという経験をされた方は少なくないでしょう。
身体が変わる ⇒ 発声、嚥下が変わる。
ただし言語聴覚士がこれだけの認識で、経験年数が増えていくのは困ります。少なくとも
身体が変わる ⇒ 発声や嚥下に関わる筋が変化する ⇒ 発声、嚥下が変わる。
というようにもう一段階必要です。特に抽象的な介入を行うとき程、口腔周囲筋の細やかな状況を前後でアセスメントし、①何が変化したのか、②何は変化していないのかを把握することが最低限求められます。
そうでないと残された課題が見えず、次のステップをどうするかご本人や多職種へ説明することが難しくなります。
そして口腔機能探求部で紹介している様々な背景因子を知り、そもそもの原因としてどのような事が考えられるかということも多角的な視点からイメージできるようになるといいですね。この辺りは乳幼児の話も入ってきますが、まさに成人領域の言語聴覚士さんが知ると臨床がより面白くなるところです。
アセスメント力を高める
口腔機能探求部では一緒にアセスメントやセルフケアを行うなかで①基本的なアセスメント力、②特記を書く力の向上、③多職種で関わる意義を理解することを目指しています。
基本的なアセスメントととして健常者の口腔の①観察、そして②ふれるの二つの技術に重きをおき、アセスメントしたことを特記として書くことを行います。
この1年間、口腔機能探求部に参加して頂いた方はおそらく、口腔内をみた瞬間に読み取れる情報、想定される課題、その方の強さがいろいろと見えてくるようになっているのではないでしょうか。
特にこの②特記を書く力の向上は来年からより一層力を入れていきたいと考えています。
今回の口腔機能探求部
前回、久しぶりに2つのセルフケアを含む初回の講義内容を行いました。この記事後半で動画を共有しますので、まだ視聴されていない方はご確認ください。
前回は口腔内に触れて最初に評価することの多い「歯と口唇の間の空間の広さのアセスメントとセルフケア」を紹介しましたが、ここから分かる情報はとても多いです。
臨床現場でみていると、乳児でも高齢者でもここのアセスメントでチェックがつかないことの方が少ないように思います。口腔衛生という視点でも関係が深く、ここの課題が解決すると口腔ケアが楽になる場合が多いです。
今回も最初に内容の復習と、いくつかその背景因子(乳児、高齢者それぞれ)を紹介しつつ、その上で、その次にアセスメントとセルフケアとして行う内容を共有していきます。
--当日18時になりましたらこれ以降非公開となりますーー
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