背屈運動と頭頚部 @口腔機能探求部
こんにちは奥住啓祐です。
”偏食のある子ども達(食べることにとても拘りのある子たち)”への支援について海外の本から学ぶ企画の準備が先月から始まりました。来月のLT大会からスタートし今年の年末までかけて皆さんとも共有していきますのでお楽しみに。
背屈運動
口腔機能探求部では”獲得している口腔機能のバラツキ”について皆さんと共有していますが、歯科で子ども達を観察していると、機能のバラツキが子どもの時からあることが良く分かります。
口腔機能探求部で繰り返しお伝えしているように「機能のバラツキ = ダメ」ではありません。
Twitterで”足関節の背屈障害”についての投稿がありました。
赤ちゃんや子ども達の背屈機能は、(小児)歯科での臨床においても観察ポイントとしています。
なぜならその時(例えばハイハイの時)から既に背屈機能の獲得にはバラツキが生じており、そのことはその後のヘッドコントロールとも関連すると考えているからです。
「機能のバラツキ = ダメ」ではありません。
足関節の底屈方向への運動が得意な子ども達(大人も)の場合、下の写真のようなポジションをとった状態から、セラピストがクライアントに合わせながらゆっくりと後方へ重心移動した際、先ほどのツイートの右下の写真のように”足趾で踏ん張り、足部を前方へ出すことに苦労するケース”をよく経験します。
足部は踏ん張ったまま、腰椎辺りから身体を屈曲させ、上半身だけでセラピストの動きについてくる。僧帽筋などは身体のバランスをとるためか緊張が高くなっているのも特徴と感じています(頸部周囲筋の緊張の高さの原因は他にもあると思いますが)。合わせて頭頚部の屈曲方向の運動をコントロールすることは苦手。
という事は舌の得意な運動方向は、、、苦手な運動方向は、、、舌尖端の状態は、、、さらに発音や食事への影響は、、、など考え、実際に丁寧に確認することを繰り返すと、PTさんとのPhysical面での情報交換もしやすくなるでしょう。
食事の際のポジショニングにおいて言語聴覚士も足部の背屈を意識されると思います。その事が実際に頭頚部にどのような影響を与えているか見てみましょう。
学習された得意な運動
前回のLT大会で僕自身の”機能性構音障害(口蓋化構音)”につて話しました。
僕の場合は20年間”ら行を話す際に奥舌の機能を通常よりも多く使って”発音していました。言い換えると、そういった戦略を無意識に行えるほど繰り返しトレーニングしてきた事になります。
構音訓練では現在の自分が行っている戦略と、正しい発音方法との違いを理解し、目標となる戦略の再獲得へ向けて繰り返し反復練習していったのですが、
食べること、話すことに必要な解剖や機能について学んだ言語聴覚士の学生であっても、①正しい運動方向を理解して、②舌の可動性があることで、これから獲得しようとしている発音方法がすぐに実践できるわけではありません。
舌尖を使った本来のら行の発音方法を実践しようと思っても、無意識に奥舌の挙上が始まります。一つの運動を行うために、学習された方法と違う戦略を新たに習得するのはホントに大変だなと学生時代に実感したのを良く覚えています。
評価と訓練におけるポイントは口腔機能探求部でお話しましたね。
運動時に動員される複数の筋
口蓋化構音において、ら行を発音する際に生じるのは、単純に奥舌の挙上のみでしょうか。もしかしたら頸部周囲筋なども発音時に動員していたかもしれません。
単純な舌の前後運動でも、舌以外の様々な筋を動員しながら行っている方は少なからずいらっしゃいます。提舌の状態から舌を口腔内に戻す運動時に動員される筋も、人によって異なり興味深いです。
足部の運動の際に動員されている筋
口腔の運動の際に動員されている筋
助産師さんと一緒に子ども達を見ていると、面白い気付きが多いです。
次回の記事ではもう一歩踏み込んで書いていきますので、ぜひまずは丁寧に観察してみてください。
☆募集中
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2.今週末 第5回LT大会のエントリー受付を始めます。
お楽しみに!
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