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第10回「仕事納めがおさまらない!?」

本日は、我が編集部の仕事納め。
このところの年末進行で殺伐としていた部内の空気はどこへやら、
まったりムードが漂っている。

「そろそろ皆さん、いらっしゃる頃だから」

と、会議室のテーブルに、ひろこさんがお皿を並べ始める。
う~ん、いい香り。
我が編集部の仕事納めと言えば、
今年一年お世話になった方を招いての忘年会が恒例行事。
場所はうちの会議室だけど、
出てくるのは、ひろこさんお手製のアレやコレ。
それを楽しみに、かなりの人が集まってくれるのだ。

「今年もお世話になりました」
「来年もよろしくお願いします」

なんて定番の台詞があちこちで交わされる中、
部内のとある一角だけが、
まるで異空間のようにピリついた雰囲気をまとっていた。

「ですから…何度も申し上げていますように、
 その表現ではコンプライアンス的に引っかかってしまうので、
 変更させていただいたんです」

「えぇ、はい。
 先生がこだわりを持っていらっしゃるのは承知しておりますが、
 うちも出版社として譲れないラインがございまして…」

「言葉の端々にトゲ満載だね、しもむーさん」

関わりたくないと遠目で様子をうかがいながらたくやくんが呟く。

「ここのところずっと手こずってる著者さんで…。
 しもむーさん、そろそろイライラMAXかも」

と、あいちゃんも触らぬ神に祟りなしの距離感を保って言う。

「爆発しないといいけど…」

とたくやくんが言った矢先、しもむーが著者さんに最後通告を突きつけた。

「修正はこのままでいきます。よろしいですね?」

えーと、しもむーさん。
それ「?」じゃなくて完全に「!!」のほうですよね。
質問じゃなくて、確認でもなくて、圧強めの断言ですよね。

「よ・ろ・し・い・で・す・ね!」

そうダメ押しをして、しもむーは電話を切る。
この時に乱暴に叩き切ったりせず、
冷静にそっと受話器を置くのがまた怖い。
そして…

「ダメなもんはダメなの! 何度も言わせんなっつーの!」

という捨て台詞を大声ではなく、
超ウィスパーボイスで吐き捨てたしもむー。
一応、周囲の空気を壊さない配慮らしい。

いや、丸聞こえだし、まとっている空気が覇王すぎて、
その配慮、ぜんぜん意味ないんですけど…。

「さて、ひろこさんのお料理で、仕事納め、仕事納めっと」

くるっと表情を変え、
スキップしそうな勢いで会議室に入ってくるゴキゲンしもむー。

「切り替え、早っ!」

と全員が脳内でツッコんだのはいわずもがな。
でも、鬼モードのままじゃなくて助かったー。
これで安心して仕事が納められるってもの。
うんうん、よかったよかった。

「皆さん、今年も一年、お疲れさまでしたー」

ミドル・ボスのねぎらいの言葉に、みんなが笑顔で杯を掲げる。

ドタバタと駆け抜けた2024年。
さて、新しい年は、どんなドタバタが待っているのでしょうか。

「来年は発行部数1万部、目指すわよ♡」

とまりりんが景気のよく打ち上げれば、

「単行本も10万部のベストセラー狙います!」

としもむーが続く。

たくやくんは新しい連載企画の立ち上げを、
あいちゃんは編集者として一人前になることをそれぞれに宣言。
そんなメンバーを、ひろこさんはニコニコと見守っている。

「来年…は無理でも、いつか!
 ベルーナドームのネット裏席を年間契約するわよっ!」

最後はやっぱり、ミドル・ボスの野球ネタで締めくくり。
来年もきっと、この調子なんだろうなぁ、この編集部は。

ということで、来年も「たべツー」をよろしくお願いいたします。

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