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第14回「〆切は毎月やってくる」

月刊誌というのは、毎月〆切がある。
なにを当たり前のことを言い出しているんだと
呆れた声が聞こえてきそうですが、
改めてそれに気づいたらしいあいちゃんがポツリ…。

「〆切って、ついこの間終わりましたよね?」

「今回もバタバタだったけどねぇ」

「でもね、しもむーさん
 また来週に〆切があるんですよ」

「あぁ、また怒涛の忙しさがやってくるのか…」

「何でですか?」

「ん? どうしたの? あいちゃん」

「だから、〆切終わったばかりなのに
 何でもう、次の〆切が目前なんですかっ!」

「あぁ、年初はしょうがないのよ。
 1月ってお正月休みがあるから実働日数少ないじゃない?
 しかもほら、2月も28日までしかないからさ」

そう。毎月〆切のある月刊誌でも
1月2月は特にそのサイクルを早く感じる。
その理由は、しもむーの解説通り。
これもまあ、月刊誌編集に携わっていると
ある意味、あるあるネタなんだけどね。

「納得いかなーい!」

しかし、まだ編集見習いのあいちゃんは爆発寸前。
1月2月の慌ただしさばかりか、
その先のスケジュールを見て絶望したらしい。

「月刊誌の編集って、息つく暇なくないですか?」

「そう?
 売れてる月刊誌に比べたら、ゆるいと思うけどなぁ」

さり気なく、うちの雑誌をディスるのは
やめてもらおうか、しもむーさん。
まあ、否定はしない。だが、肯定はしたくない!!

「っていうか、あいちゃん、今さら気づいたの?」

「いつまでも忙しい波が終わらないなぁ~。
 おかしいなぁ~と思っていたら、
 ふいに気づいちゃったんですよ」

「でも、年間のスケジュールがきっちり出てるから
 息の抜きどころはわかると思うけど?」

と、ここでミドル・ボスが参戦。
余計な例えで混乱させなきゃいいけど…。

「まぁ、たしかに」

と納得顔のしもむー。
しかし、あいちゃんはまだ納得がいかないようだ。

「プロ野球もさ、年間スケジュールが事前にわかるじゃない。
 だから、こちらも予定を合わせやすいわけよ」

あ、やっぱり、そっちの方向にいっちゃいますか、ミドル・ボス。
いや、わかってましたよ。うん、わかってましたってば。

「それに、選手だってさぁ
 年間スケジュールに合わせて、
 うまく息抜きタイムを作ってるわけじゃない
 この日は地方遠征だから、女の子と遊んじゃおうとか」

えーとそれは、源田くんとか、源田くんとか、源田くんとか?
まあ、プロ野球選手の現地妻うんぬんってのは、
昔から言われてますけどね、都市伝説的に。
って話は置いといて…。

「だから、あいちゃんも
 スケジュールの合間にちゃんと遊べばいいのよ」

何か、いいこと言ったー風に去っていくミドル・ボス。
あいちゃんはといえば…やっぱり納得していない模様デス。

「そのうち、自分のペースができてくるから
 焦らずに慣れていってね、あいちゃん」

「それまでは辛抱かぁ…」

「辞めたくなった?」

しもむーがやさしく問いかけると

「全然!
 絶対に辞めたりしませんよ。
 私、この仕事…いえ、この編集部、大好きですから!」

と、元気と笑顔を取り戻したあいちゃん。
めでたし、めでたし。

さぁ、今月も〆切に向けて、頑張るぞー!!

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