#10 腎不全と、急性腎障害&慢性腎臓病の違い
腎臓病=腎臓が悪いと腎不全というのか??と思った時もありますが、ちょっと調べただけではよくわからなかったので、しっかり時間をとって調べてみました。
ちょっと細かい話なので、どう違うのか戸惑われている方向けになるかもしれません。
<急性>
急性腎不全(ARF:Acute renal failure)
広義での概念
ARFは従来からの言い方(概念)で、定義や分類,診断基準が統 一されていませんでした。
そのため、早期かつ軽症なうちに発見するためにAKIという概念が生まれました。
狭義での概念
・尿量が400ml以下/日
・BUN 10mg/dl/日以上 S-Cr 0.5mg/dl/日以上
→適切に治療すれば回復が可能
急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)
上記の、急性腎不全(ARF)が定義や診断基準等が曖昧なため、早期かつ軽症なうちに発見することが必要なために生まれた概念。
・何らかの疾患や障害により48時間以内に急激に腎機能が低下する状態
・従来の急性腎不全(ARF)よりも早期に腎障害を認めた状態
・症状の重さによりステージ1~3の3分類 (透析になった場合は必ずステージ3)
・48 時間以内に血清クレアチニン値が 0.3 mg/dL 以上または 1.5 倍以上に上昇,あるい は尿量 0.5 mL/kg/hr 以下が 6 時間以上持続
・血液検査では、血中尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン(Cr)、カリウム(K)の高値
・症状:尿量減少(尿量が減少しない場合もあります)、むくみ(浮腫)、食欲低下、全身倦怠感
*その他細かい部分は割愛。詳しくは専門医へ。
∴つまり、
「急性腎障害」の中で、上記ARFでの記載などのように、腎臓症状が悪化して体液の恒常性が保てなくなったら「急性腎不全」というわけですね。
<慢性>
慢性腎不全(CFR:Coronary flow reserve)
明確な定義はないそうです。
様々な記載がありましたので、列挙してみます。
・糸球体濾過率(GFR)が正常の約半分以下*に低下した場合か、血清クレアチニン値(Scr)が2.0mg/dl以上を言うことが多い。と記載されているものもあります。
・正常な時と比べて腎臓の働きが60%以下や、50%以下、30%以下を腎不全というと記載されているものがあります。
15%以下*になったら、末期腎不全(ESKD:End stage kidney diseas)となり、透析か腎移植が必要となります。
*20~10%や、10%と書かれているものもあります。
CKDの重症度分類の表で、ステージ5の最終ステージとなります。
→急性腎不全と異なり回復不可能
透析や腎移植を受けなくていい腎不全の状態を、「腎不全保存期」と言います。
慢性腎臓病(CKD:Chronic kidney disease)
・尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が 明らか。特に,0.15g/gCr以上の蛋白尿(30㎎/gCr以 上のアルブミン尿)の存在。
・GFR< 60mL/min/1.73m2 2項目のいずれか,または両方が3ヶ月以上持続する
∴つまり、「慢性腎不全」と言っていいのかよくわからない方、明確な定義はないので、 言ってしまってもいいかもしれないですし、シャイな方は「慢性腎臓病」と言うと間違えないですね。
(参考文献:日本腎臓学会、日腎会誌、日腎会誌2010、日本内科学会雑誌、医薬品医療機器等安全性情報、森下病院、東海大学医学部付属病院、看護のお仕事ハテナース 等様々なサイト)
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