日曜朝を震撼させる王、ジェラミー・ブラシエリ
「ハッタリってのは何の為にあると思う?オタクを狂わせる為さ!」
日曜朝9時半からテレビ朝日系で放送されている伝統の「スーパー戦隊シリーズ」。そして現行作である「王様戦隊キングオージャー」の第12話にてとんでもない事が起こってしまったのでnoteを書いています。一応12話終了時点の話なので13話以降に関してはあまり触れていないので悪しからず。そして最初に言いますが「王様戦隊 キングオージャー」はAmazonプライムやTVerなどで見放題なので!!!!!!よろしくお願いします!!!!!!!
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・「王様戦隊 キングオージャー」という作品について
舞台は「チキュー」。我々の住む地球とは時限の異なる完全ファンタジーの世界である。この「チキュー」には5つの王国があり、それぞれに国王が存在する。そして「チキュー」には古くから「2000年の時を経て悪の一族「バグナラク」が復活し、人類は滅亡する」という予言がある。2000年前のバグナラクとの争いでは、5つの王国の国王達が力を合わせバグナラクを打ち倒した。そしてまさにその予言の年を迎えるの年がこの作品で描かれてる時間軸である。再びバグナラクを止めるため、5王国の国王達は伝説の剣「オージャカリバー」を手に取り、闘いに身を投じるのである。
この5王国の国王達がそれぞれのヒーローに変身するキャラクターなのだが、「民衆から慕われている「シュゴッダム」現国王ラクレスの裏の顔を知った為、自ら邪悪の王を名乗りラクレスを打ち倒そうとする国民の孫、ギラ/クワガタオージャー」、「スラムから己のパソコンの実力のみでのし上がり、国民からの信頼も厚い俺達の総長、IT王国「ンコソパ」国王 ヤンマ・ガスト/トンボオージャー」、「美しいにこだわりを持ち我儘な所もあるが、国民の為なら身を挺する覚悟も持ち合わせる、医療の国「イシャバーナ」女王ヒメノ・ラン/カマキリオージャー」、「国民の為ならどんな手をも使う、未だ真意が読めない最強の人たらし、農業の国「トウフ」国王 カグラギ・ディボウスキ」、「5王国の罪人を裁く最高裁判所のある「ゴッカン」にて限界社畜ぬいぐるみお喋り裁判長を務める国王 リタ・カニスカ/パピヨンオージャー」の5人が王様戦隊である。そして「「シュゴッダム」の現国王であり、民衆から慕われているものの、本質は「民は道具」と言い、何かを隠している現国王 ラクレス・ハスティー/オオクワガタオージャー」がこの5王国の関係を掻き回す存在である。
キングオージャーの面白い所は「この5王国で力を合わせて敵を倒そう!」という単純な話ではなく、それぞれの国による絶妙な駆け引きや政治劇が展開される所である。その中心とも言えるのがスーパー戦隊の醍醐味の1つ、合体ロボ「キングオージャー」である。このキングオージャーは巨大化した敵を倒す為に使われる正義の存在なのだが、使い方によっては国ごと破壊する事も出来てしまう、現実の言い方で表現すれば「核兵器」と同じような扱いをされている。またこの「キングオージャー」を使役出来るのは王では無い「ギラ」のみなのでそれぞれの国でギラを巡った攻防戦なんかも繰り広げられる。
戦隊モノといえば「赤をリーダーに全員で力を合わせて敵を倒す!」というイメージが強いと思うが、ここ数年の戦隊モノは「個」のキャラ作りを重視している。実写というよりアニメの様なキャラ造形に近い多少大袈裟なキャラ立てが顕著に現れている。特に前作の「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」はその試みを全面に打ち出しながら物語が展開された為、初めての全員同時変身が44話という驚異の記録を打ち立てた。そしてそれぞれのキャラクターの個の魅力に惹かれ、今まで特撮に触れてこなかった層のファンを獲得する事に成功した。そしてこのキングオージャーは「個」を打ち出したドンブラザーズのいい所を受け継ぎ、尚且つ王道の戦隊として展開している。
そして毎年夏前ぐらいになると追加戦士と呼ばれる新たな戦士が物語に現れる。初期メンバーとは違うアイテムで変身したり、姿なども少し違ったりするなど特別感のある戦士が登場する。そして追加戦士が登場する頃になると物語の軸も定まり始め、ヒーロー5人の関係性も出来上がってきて面白くなってきていて「ここに新たなキャラ入れてこの雰囲気が崩れるのもなぁ……」とか考えながらも、脚本家はプロなのでしっかりとバランスを整えてくれるので毎年土下座している。そして例年通りこのキングオージャーにも追加戦士が現れたのだが、それが問題である……。
・ジェラミー・ブラシエリという男について
推しは「見つけるものでなく出会うもの」と兼ねてから思っているが、その「推しに出会った時」の言語化は難しいだと思う。でもこのジェラミーに出会った瞬間は明確に「好き!」では無い心の動きを強く感じた。「答えなどない問いを突きつけられ、脳はその問いを解くためだけにしか機能しないただの物になる」感覚だった。なぜそこに存在するのか、なぜこんなにも心を掴むのか。そして彼の言動一つ一つから何かを突きつけられているような感覚に陥った。これが「推しに出会う瞬間」なんだろうな、と自覚するのにそう時間はかからなかった。
この「ジェラミー・ブラシエリ/スパイダークモノス」は2000年前の予言を綴った張本人であり、その時代から「とある事情」により蜘蛛の仮面によって封印されてきた人物であった。その「とある事情」とは「人とバグナラクの間に産まれた呪われた子」であったからだ。かつて2000年前の闘いで禁断の愛で結ばれた人とバグナラクの間に産まれた存在。そしてその力を両親により封印されたジェラミーは「予言」という形で人、バグナラク、それぞれの陣営に違った伝説を残した。その「予言」こそがジェラミーの封印を解く鍵であり、全てはジェラミーの思惑通りに動いていたのだ。
ジェラミーが封印を解いた目的、それは「人とバグナラクの争いを止め、狭間の王となる事」。その真意は人とバグナラクの間に産まれ、そして愛されて育ったからこそジェラミーの中に生まれた敵や味方なども関係の無い、二種族への愛だった。ただジェラミーという人物は物語を綴る者であり、安っぽい単語や言い回しは嫌いで、複雑でセンスのある言い回しをした上で読者に「行間を読め!」というめんどくさい 愛おしいキャラクターなので、この真意が伝わるまでにめちゃくちゃギクシャクするし、伝わってない事にめっちゃ逆ギレする。可愛い。2000年間そんな調子だったので段々と拗らせていったんだろうな〜というのが滲み出てきてしまっている。ただ、その真意が今の国王達に伝わるとすぐに納得してくれたその様子に拍子抜けしたりもする。きっと今までは聞く耳も持ってくれなかったり、やはりそういった考えを持つ者は両陣営からも邪魔な存在として扱われていたのだろう。そんな彼の前に現れた今の王達はどう映っていくのがが現時点でこの先の話の軸になりそうな部分である。
そしてジェラミー登場時のなによりのサプライズが番組当初からOPで流れていたあらすじ説明のナレーションを彼が担当していたという事だ。先述した通り彼は物語を綴る者、そして予言を残した張本人なのでそれを逆手に取った伏線であった。そして毎話流れるOPのナレーションというのが「宇宙の片隅の惑星・チキュー。五つの王国が治めるこの星に、巨大な危機が迫っている。これは、平和を護る王達の物語、そして王になる男の物語である!」というものなのだが「平和を守る王達=ラクレス、ヤンマ、ヒメノ、カグラギ、リタであり、これから王になる男=ギラ」だと視聴者の多くが思っていたのが実は「これから王になる男=ジェラミー」と、これは自分の物語であるという事を自分で語っていたという大仕掛けも隠されていたのだ。キングオージャーはそういった細かい仕掛けが散りばめられているので本当に面白い。
ジェラミーは「人とバグナラクの間に産まれた子」という過去を持っている。それを隠して来たのも今までそれを打ち明けた所で何も変わらなかったから。半ば諦めの様な部分もあったのだろう。実際、自分の言葉で予言や物語を話す時はキラキラとした美しく眼、軽快な口調で語り、彼の身体全てに感情が宿っている様だった。その話に隠した行間の部分、つまり真実に踏み込もうとした瞬間にその眼はただ五感の1つを担うだけのものとなり暗くなる。ただ、これが彼の本質の部分なのかもしれない、とも思った。隠すべき過去を無理矢理抑えつける為に明るさを演じる。でもきっと本来の彼はたくさんの愛を受けて育ったのが伝わる様にその明るく、素直な部分が本質なんだろう。それが2000年の間、彼に降りかかった言葉や現実がそこをひっくり返してしまったのかもしれない。美しい顔が感情によってコロコロ変わり、その真意が読めない……そんな所が余計オタクを狂わせる……。そんな彼の前に現れた5人の王はこれからどんな関わりを見せてくれるのか、きっと今年の戦隊も追加戦士が登場する事でバランスが崩れるどころか物語の面白さが加速する事だろう。
そしてヒーローものには欠かせないカッコイイ名乗り。
ジェラミー・ブラシエリは口上はこうだ。
いーーーーや、声に出して読みたい日本語すぎる…。物語を綴るものとしての実力への説得力が増す言葉遊びの数々。この2000年間、5王国の各サイファーに仮面を着けたまま飛び入りで参加し、完膚なきまでに叩き潰してきたであろう気持ちよすぎる韻の踏み方。そして、日曜の朝起きてすぐ目に入れるには美しすぎる顔、公式コスプレ衣装をオタクが着た所で「ヤギと大悟」の千鳥大悟にしかならないであろう高貴な衣装、ミステリアスで掴みどころのない言動、ルノアールで支離滅裂なビジネスを説明されても簡単に納得してしまうくらい色気のある口調と声。それらを持ち合わせながら一人称が「俺」…このギャップにやられる。
戦隊モノをリアルタイムで終える事は贅沢だ。毎週推しの新しい供給があるとはいえそれも1年で終わりを迎えてしまう。まるで昆虫の命のように儚い。本編終了後も、役者本人が演じるヒーローショーライブや、過去戦隊や次の新しい戦隊と共演する映画、そしてヒーロー役を全うした役者本人が広い世界に羽ばたき活躍する様を親のような目線で追うなどたくさん楽しみ方はある。それでも物語は1年で終わりを迎える儚いものだ。ただその限られた時間の中で、今日も蜘蛛の糸に絡まりながら、彼から突きつけられた問いに答えが出せるようにと、録画を見返すのであった…… 、、、とさ。
ニチアサの感想を日曜朝にTwitterの文字数じゃ足りないので画像でツイートしたり、GロッソやFLTに通ったり、グループ共通TikTokで他のメンバーが流行りの曲やダンススキルを魅せられる曲を踊る中ドンブラダンスを完璧に踊るTikTokを載せたり、映画を観た後にスーパー戦隊レストランに直行したりとニチアサ愛が止まらない結果、ドンブラ夏映画公開時には所属するグループのラジオでキャストへのインタビューも実現したニチアサ最強アイドル、≠MEの川中子奈月心ちゃんからも目が離せませんね……