歌と、小田急線

秋のうたたね。今わたしのiPhoneが再生しているプレイリストの名前だ。卒業ソングとかクリスマスソングとか歌の世界にも季節モノはいろいろあるけれど、特別そうとは謳っていなくても、この季節だから聴きたいなって思い浮かべる曲の1つや2つ、誰しもきっともってるはず。わたしの場合は、それらを季節ごとのプレイリストの中へ入れて楽しんでいる。ちなみに今イヤホンから流れているのは、ハナレグミ「360°」。永積タカシさんのやさしい歌声を聞きながら、秋晴れの井の頭公園を通り抜けるのなんて気持ちがいいだろう。何も予定がない休日に部屋着のままごろごろするのもいい。新宿行きの快速急行に揺られているのが残念ながら現実だけど。
藤沢駅で江ノ電から小田急への乗り継ぎを足早に済ませてイス取りゲームを優雅に躱し、車両の一番隅っこの席を勝ち取った。なるべく先頭近くの車両に並ぶというのが、吉祥寺から湘南台まで通っていた大学4年間で学んだコツ。足の間に挟んだスーツケース越しに、後から乗車してきたちびっこがちらちらと視線をこちらに向けているのも視野内に入っているけれど、ごめんね、小田急線で50分間立ちっぱなしの刑だけはもう勘弁。

今日は11月23日。まださすがにダウンコートはクローゼットで待機しているが、少しずつ先生の足音もし始めた。外を歩くのがしんどくなる前に海をゆっくり眺めに行きたいなと思い立ち、こないだお弁当片手に滑川の駐車場へ足を運んでみた。地元の方と思わしきおばさま、海外からの観光客など何人かの先客がいる中、鴨川のカップルのように一定間隔を保ってわたしもベンチに座る。弁当箱の中身は前の晩に作った残り物のハヤシライス。あとみかんも1つ連れてきた。つぶれるのを防ぐために、にわとり型のゆでたまご用ケースにみかんを収めるのがマイブーム。はみ出すからちゃんと閉まらないんだけどね。頭上にはトンビ、足元にはハトとカラス。案の定、ブロンドの長い髪と驚いた声が風になびいたと思ったら、女性が手に持っていたはずのおしゃれなサンドイッチは包み紙ごと地べたに寝そべっていた。弱肉強食よ、お姉さん。

顔を上げれば町田に着いたところ。小田急の旅もあと半分。

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