第十九章 イケメンじゃないならイイ香りを漂わせておけ!
人間の第一印象はほぼ見た目で決まるという。「ただしイケメンに限る」なんて言葉があるがその通りだろうと思う。見た目が良いというのは武器だ。それだけで勝ち組だ。しかしながら、実は視覚よりも嗅覚の方が記憶としては残りやすいらしいのだ。旦那が纏って帰ってきた香水の香りに「この匂い……✕✕さんと同じ……まさか浮気相手って……」なんて呟く主婦の漫画広告を見たことがあるが、これは本当に起こり得るのかもしれない。それぐらい、香りというものは記憶に残るのだ。
いい匂いは他人に好印象を与える!逆に嫌な匂いというのは動物的には危険な匂いなのである。だからこそ嫌悪感を抱いてしまうのだ。
私はお洒落には自信はない。流行りには疎いし、好きな服を着たいだけだ。メイク用品だって特別高い物に手を出すことはない。クリスマスコフレなどチェックもしない。だが香りを纏う事は昔から好きなように思う。
高校生の頃、どういう経緯かは忘れてしまったが、幼馴染の男にマフラーを借りた事がある(これは菌糸類ではない幼馴染だ)。隠れて煙草を吸っていた彼は、その香りを誤魔化す様に香水を付けていた。マフラーに染み付いた【BVLGARI BLV POUR HOMME】と煙草の匂い。ガキの頃から知っている筈の男が酷く大人に思えたのだった。
香りは記憶に残る。
ブループルーオムの香りを嗅ぐたびこの幼馴染の事を思い出すならば、それはそれは甘酸っぱい青春の思い出に為り得たのだと思う。しかし悲しいかな、この香りを嗅いで真っ先に思い出すのは上書きされた別のエピソードなのだ……。
それは大学時代。同期にあまりお洒落を知らないモテない男が居た(失礼な!)。ある冬のこと、日々面白いことだけを追い求めて生きている大学生たちの間に、モテない君をモテる君に改造しようという計画が持ち上がったのだ。ほんっっっっとに余計なお世話である!しかしこのモテない君。まんざらでもない様子で、皆のモテアドバイスをひとつひとつ真剣に聞いていたのである。根っからの良い奴ではあったのだ、このモテない君は!そして、アドバイスに従って買ってきた香水。これこそが【BVLGARI BLV POUR HOMME】だったのである!まさにイケメンじゃないからいい匂いを漂わせようとしたのだ。モテない君は部室に買ったばかりの香水の大ボトルを持ち込んだ。「買っちゃったんだよねぇ」とニマニマ笑う彼に「良い香りだよね、それ」と部の仕事をしながら私も応えたその直後、事件は起きた。モテない君がボトルから直接何度も自身に香水をかけたのである。ファブ〇ーズじゃねぇんだぞ!?というくらいかけたのである!!彼は香水の使い方を知らなかったのだ。部室は噎せ返るほどのブループルーオム臭に包まれた。部室の外へ逃げ出す者。えづく者。咳き込む者。窓を開けに走る者。モテない君の行動にガチギレる者。部室は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。いい匂いだといっても限度を越した量を振り撒かれれば最早香害でしかない!部員たちに叱られた後、彼がその香水を部室に持ってくることはおろか、香水を付けてくることも二度となかったのだった……。(本人はボトルを失くしたと言い張った)
ブループルーオム……今では私も持っているし、比較的好きなのだが……使おうとするとついついあの地獄を思い出してしまうのである。匂いと記憶の関係ってマジで凄いね……。ただし、同期の彼にとっても私にとっても、この香水ブシャー事件は今となっては笑い話であるのが救いだろうwww
ところで。私が初めて自分で買った香水は【Bvlgari Black】だ。幼馴染と同じブループルーオムを買うのは何となく憚られたのだ。真似をしたくないという謎の見栄が若かりし私にもあったのである!「いや、結局ブルガリじゃん!?」と言われそうだが、お洒落に疎い私が香水など詳しい筈もない。「ブルガリだけど違うやつ」を選ぶのが精一杯だった訳だ。だが見栄はあれど苦手な香りを付けるような苦痛には耐えられない。勿論私としては、ブラックが一番気に入って買った。このブラックは当時吸っていた赤マルとの相性も良かった様に思う。バニラの甘さは確かにあるが、決して甘ったるくはない。今は日本に出回らなくなってしまったが、去年実はプレゼントに頂いた。少々レアになってしまったのも有り、嬉しくて滅多に使えないでいるwww
ブルガリの香水は好みなのだが、少々フォーマル感が強い。なので、普段はもっと安価で使いやすい香水を私も使っている。
【JEANNE ARTHES Sexy Boy】の匂いが苦手だという人が周りに居ないのもあって、長年こちらを普段使い用としていたのだが、気分を変えたくて土曜日に新しい香水を買ってみたのだ!
【ALAIN DELON SAMURAI BLACKLIGHT】である。刀のイメージが強いせいか、よく「サムライとか使ってそうだよね」と言われる私だが、実は初めて手を出す。ブラックライトも安価だが私好みの香りだ。
この香りに辿り着くまでに売り場で左手に色々な香水を少しずつとはいえ付け過ぎて、頭がクラクラしてしまった。間抜けにもブラックライトの引換券を取った瞬間、棚上にテスト用の試紙を見つけてげんなりした……そりゃ有るだろう、何で探さなかったんだ私!!
香水は付けた後、時間によって匂いが変化する。私の好む香水をよくよく調べてみると、ラストノートがアンバーやムスクのものばかりだった。気分を変えたくて新しい香水を買ったというのに、実はほとんどが系統が同じって……。
まぁ無理して全然違う香りを付けてみても好みじゃないと使わなくなりそうだし……これはこれでまぁいっか!!!!
イケメンではない私も、いい香り効果に期待し、ブラックライトを付けて出かける日を楽しみにしていよう( ´﹀` )
p.s.
1号の自転車の空気が抜けていることを思い出したよ!ありがとう!!
かえる………えぇ……そこぉ………。
相変わらずお父上が面白すぎるwww元気で何よりだよ!