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二人暮らし 3 /私とお店のこと beeteat 竹林久仁子

そんな様子を見かねて叔父が親戚と遊園地に行く計画を立てた。当時県内一の大きな遊園地に向かった。なぜか河童がマスコットキャラクターになっている遊園地だった。その得体の知れない生物のキャラクターに警戒をせずにいられなかった。

ジェットコースターやメリーゴーランド、お化け屋敷、大きな従兄弟たちは着くなりはしゃいで楽しんでいた。未就学児でどの乗り物も対象年齢未満だった私は、ただよしこおばちゃんにだっこされながら従兄弟たちの楽しむ様子を眺めているだけだった。

「ねえねえ、あれ行こうよ!」

一通りアトラクションを楽しんだ従兄弟のお兄ちゃんたちが何かに気づいて駆け足ではしゃいで向かった。私を抱いたよしこおばちゃんも後を追った。大きな人だかりをかき分けるように従兄弟たちは消えた。その人だかりの中に何があるのかと、私とおばちゃんは外から眺めていた。

「くにちゃんに見えるかな?」

よしこおばちゃんが私の両脇を抱きかかえて高く持ち上げてくれた。
ゆっくりと見え始めた光景は、期待とは違ってとんでもないことになっていた。大勢のショッカーが子供達を誘拐しようとしていたのだった!?

全力で震えた。突然の生命の危機に焦った。早くこの場から逃げようと、よしこおばちゃんを急かせた!
よしこおばちゃんは私の要求に従うことなく笑みを浮かべている。逃げるどころか人だかりの中へ入ろうとしている…もしや仲間か?
もう限界だ、よしこおばちゃんが羽織っていた3本線の、アディダスではないジャージのファスナーを開けてその中に隠れた。しばらくして仮面ダイダー登場。あっさりとショッカーと怪人をしばき倒した。

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