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東京五輪に関わった人たち CASE-02(仕事文脈vol.19)

開会の約2週間前に無観客での開催が決まり、東京五輪は多くの人にとってテレビなどメディアを通じてしか接する機会がないものとなった。新型コロナウイルスの感染拡大や度重なる不祥事を受け、会期中も反対の意見が激しく飛び交っていたが、実際に現場で働いていた人はどう感じていたのだろうか。関わった人の話を聞くことで、近い場所にいたからこその複雑な思いや、あるいはその人なりの論理が見えてくるのではないか。それを知るために取材を進めてみたものの、関係者からは断られることも多く、依頼は難航。口を閉ざす人が多い中、大会関係者、ボランティア、聖火リレーの記録係、さらにはスポンサーの不買運動を行なった人の4組に話をうかがうことができた。(取材・文:小沼理)

CASE-02 ボランティアとして
やれることをやるだけ 


五輪ボランティア・スタッフ
Tさん(40代・男性)
Kさん(30代・女性)
Sさん(30代・男性)

「大会の顔」とも呼ばれる五輪ボランティア。彼らはどんな思いで緊急事態下の五輪に関わったのだろうか。今回、国内外のマスコミの取材対応を行なっていた3人に「匿名でのグループインタビューなら」という条件で話をうかがうことができた。

——五輪ボランティアに参加したきっかけを教えてください。


T:もともとスポーツ全般が好きで、五輪も小さい頃から見ていたので、いつか関わってみたいと思っていました。会社がスポンサーだったのでボランティアの募集があり、東京で開催されるなら「これは逃しちゃいかん!」と思って応募しました。2018年のことです。
K:私も3年前に会社で募集があって、もともとスポーツが好きだったのでせっかく日本でやるなら関わってみたいと思って応募しました。
S:私は正確にはボランティアではなく、報酬をもらって参加しました。ボランティアの方々に指示を出すような、一段階上のレイヤーでの立場ですね。もともとボランティアで参加したいと思っていたけど、エントリーの締め切りを逃してしまって。お客さんとして楽しもうと思っていたら、今年の5月に仕事の誘いがあって参加することになりました。私たちの業務は国内外のマスコミの人たちの案内。会場の場所とか、競技の時間とか、細かい現場の困りごとを助ける仕事ですね。コロナ対策でこまめに消毒もしていました。

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