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編集部座談会「ていねいな暮らし」は今どこに?(仕事文脈vol.24・特集2 住まい、どうですか?)後編
*本記事は編集部座談会「ていねいな暮らし」は今どこに?(仕事文脈vol.24・特集2 住まい、どうですか?)前編の続きです*
「ていねい」だけじゃない暮らしが今トレンド?
浪花 2020年前後は雑誌の流れも変わってきていて、Webが中心のものも多いです。『天然生活』や『nice things.』は版元が一度倒産していたんですよね。
宮川 版元倒産だったのか!ただ、雑誌はある程度年数が経つと、休刊したりリニューアルしたりもあるし、それは仕方ないと言えば仕方ないっていうか。そのなかでも、小さい会社が暮らし系雑誌を立ち上げたのが2000年ぐらいで、その後流行って、立ち行かなくなってきちゃったのが最近なのかな。雑誌で儲けること自体が難しいし、小さくZINEのようなかたちで出していくとしても、暮らしテーマでものすごく続くのかと言えばわからない。
浪花 最近だと「風呂無し物件が若者に人気」(*2)ってネット記事が出て、炎上しましたよね。お風呂が持てないぐらい生活が苦しくなっているって話なんですが、どんな状況でも知恵や工夫によって楽しめるという価値観はもうきついと思います。社会全体がそう気づいてきているし、メディアとしても暮らし方について言えることがなくなってきている印象です。
小沼 テレビで節約術を楽しげなテンションで紹介して、炎上するケースもよく見かけるので、「そういう話じゃないんだ」って思う人がだんだん増えているような気がしますね。
宮川 インテリアだと、高いメーカーものではなく、無印良品とイケアの家具でおしゃれにみたいな。紙にしてもWebにしても、ていねいな暮らしを推す流れ自体がない。終わった概念みたいな。その中でも『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』みたいな本がやけに目につきます。歳を取っていてもそれなりに自分で楽しむ生活をする人がいますっていうのが、今メディアとして価値があるんでしょう。
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