東京にモヤモヤしない田舎の未来とカルチャー/さのかずや×Amps×荻原貴男(仕事文脈vol.16)
創刊号から連載中の「無職の父と、田舎の未来について」は『田舎の未来 手探りの7年間とその先について』という本にもなり、そんなわけで仕事文脈は田舎、地方が身近になっています。今回の東京モヤモヤは、地方から見たらどうなるだろう。著者で北海道拠点に活動中さのかずやさんと、群馬・高崎のDJ・Ampsさん、同じく高崎で書店をはじめたREBEL BOOKS荻原貴男さんの3人で、地方のカルチャーシーンについて語ってもらいました。東京にモヤモヤしたり疲れたりしない、地域ならではのおもしろさがありそうです。(編集部)
人口17万人の町で尖ったイベントを
荻原 自己紹介がてら、どんなことをやってるかっていうのと、このまえ北海道でイベントをしたということなので、そのイベントがどんなものだったのかという話をしてもらっていいですか。
さの 地元が北海道の右上の遠軽町というところで、大学が大阪、そこから東京で就職したんですけど大学院に入り直して、そのあと東京で会社に入って1年働いて、一昨年の春からフリーランスとして丸2年です。企画とか事業開発とかみたいなことをしながら、地元近くの清里町と隣の斜里町というところで「オホーツクハウス」という宿泊業を今やってます。
この間「さいはて」というイベントを釧路でやって、Ampsさんに来てもらいました。DJあり、トークあり、美味しいご飯あり、クラフトビールあり、地酒あり、写真展ありみたいな、なんでもありみたいな。人口17万人の町なんですけど、ちょっと尖ったイベントをやってちゃんと人が来るか心配だったんですけど、結構来てくれて、面白いイベントになったなあという感じでした。
僕は北海道で面白いことをやりたいという気持ちが強くあるので、そのために東京で自分のスキルでお金稼いでいるみたいな感じです。
荻原 滞在割合としては東京・北海道どのくらいなんですか?
さの 最近は2週間ずつ東京にいたり北海道にいたりって感じですね。
Amps 群馬県の富岡出身で、今も富岡に住んでいます。大学2年の時にDJをはじめて今も高崎の街中でDJをしながら色々なネットワークができて、地元で働きたいと思い地元の信用金庫に就職しました。普通に仕事をしながら、東京でDJをして群馬でも企画を打ちながらみたいな感じで10年やっています。海外からDJを呼んで、高崎を拠点に金沢、名古屋、長野、大阪、東京のツアーを組ませてもらったりなんていうこともやらせてもらいました。
10年クラブイベントをやってきた中で、人の動きがやっぱり地方で変わってきていて、音楽が好きというだけでは人を呼べない。自分で東京でDJをしてネットワークができてきた中で、それこそさのくんみたいな、県外の人をどうやって高崎に呼び込むっていう視点を持ちながら「Clubbers Guide高崎」というサイトを作って運営をしています。
荻原 2人が知り合ったきっかけはなんだったんですか?
さの 「クラブと生活」というウェブマガジンをやってる友達がいて、そこで取り上げてもらったのがきっかけですね。彼女らは、クラブは非日常なものではなくて、日々の生活上の延長線上に楽しい空間があるみたいな考え方を持ってる。その感覚は僕もあって、そういう話をしてたら「Ampsさん多分合うと思うんで」と言われて、一緒に飲んだんですよね。
Amps さのくんの記事を読んで共感して会おうとなって、東京で3人で飲んで「じゃあもう、企画やろっか」って話になり「さいはて」につながった。
さの 「さいはて」は、釧路の町の真ん中にある「HATOBA」というコワーキングスペースでやりました。そこを運営している清水さんという人も、不動産屋さんで地元のフリーペーパーを作って、20年ラッパーをやっている。ローカルにこだわりながら活動を続ける感じがAmpsさんと多分合うから紹介したいと思って、「クラブと生活」のわんわんさんとAmpsさんを呼んで4人でトークをやったら、案の定だいぶ盛り上がりました。
荻原 今回テーマが「東京にモヤモヤしない田舎の未来とカルチャー」なんですけど、公私ともに地方で色々やってらっしゃる2人が仕事、暮らしの面、あるいはそれ以外のカルチャー的な活動、何でもいいんですけど東京にモヤモヤしてることはありますか。
さの 僕はある程度モヤモヤし尽くした結果、北海道のことをやりたいと思って今活動しているみたいなところがあります。普通に東京で暮らしてるのしんどいな、みたいなのが僕にとっては高まりすぎて、今無理して北海道に行ってる感じなんです。モヤモヤと向き合った結果、こうなってるみたいなのはあるかな。Ampsさんはどうですか?
Amps 自分は逆に、群馬を拠点にしながらいいとこどりで東京に行ってるのでそこにモヤモヤっていうのはないんですけど、DJとかクリエイターとかが、若くて新しいお客さんを持ってるってだけで、いいように使われて食い潰されてる感が、個人的にはモヤモヤしてる部分ですかね。 経済的な部分で絞り尽くされたら、半年後には名前を一切見なくなるみたいな。東京というのは競争が激しいので、やむを得ないと思う反面、それが形式としてよろしき、みたいな感じでどんどん成立しちゃってるのはなんかなあと思うのはすごいありますよね。
積み重ねて土壌を作っていく
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