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upić się warto(酔っ払うことに価値がある) 第1回 どう生きるかを考えていたら、偶然ポーランドに行き着いた/浪花朱音(仕事文脈vol.12)

どう生きるかを考えていたら、偶然ポーランドに行き着いた

 思えばずっと、お金に悩まされながら生きている。

 まずは高校生の頃のこと。わずかなお小遣いは部活帰りの買い食いで消え、肝心の財布と呼べるものを買えないまま卒業した。大学受験を考え始める頃にリーマンショックが起こり、自営業の実家は打撃を受けた。奨学金を借りるにしても高い、私立芸大の学費。親の苦労を知りながらも、その大学を選んでしまった申し訳なさは、多分一生心にこびりつく。

 うちがとりわけ貧乏だった、というわけではない。年に一度は家族旅行があり、服はいつも清潔、食卓もいたって普通だった。誰もがお金に振り回されたエピソードを1つは持っているだろう、わたしもその程度である。実際に大変なのは、自分で食い扶持を稼がねばならなくなってからだ。100時間以上の残業をしても1円足りとも手当のつかない会社、ほとんど過ごすことがないのに給料の3分の1が消える家賃、自分が定年を迎える頃にはもらえないかもと思いながら払う年金……。報酬をどう活用するのか、どうまっとうな対価を得るか、または支払うのかなど、お金と生き方について(人並みにだが)考え始めることになる。

 そんな中、ポーランドへの引越し話が持ち上がった。パートナーが滞在する機会を手に入れたのだ。何も考えず便乗することにしたものの、恥ずかしながらポーランドがどこにあるのか、何語を話しているのか、「こんにちは」は何と言うのかなど、この国のことをまったく知らなかった。今同じ疑問が浮かんだ人に説明をすると、ざっくり言うと西にドイツ、東にロシアが位置するあたり*にあり、言語はポーランド語、「こんにちは」は「Dzień dobry(ジェン ドブレ)」と発音します。

 現在、2年目の春を過ごしている。もともとは1年未満の短期滞在を予定していたのだが、あと2年伸ばすことにしたのだ。理由はいくつかあるのだが、その一つが「お金」である。

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夏になると街中に特設ビーチが登場することも多い。海に面している街が少ないポーランドならではの楽しみ

* 実際には、西はドイツ、東はベラルーシとウクライナ、南にはチェコとスロバキアに接している

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