東京五輪に関わった人たち CASE-04(仕事文脈vol.19)
開会の約2週間前に無観客での開催が決まり、東京五輪は多くの人にとってテレビなどメディアを通じてしか接する機会がないものとなった。新型コロナウイルスの感染拡大や度重なる不祥事を受け、会期中も反対の意見が激しく飛び交っていたが、実際に現場で働いていた人はどう感じていたのだろうか。関わった人の話を聞くことで、近い場所にいたからこその複雑な思いや、あるいはその人なりの論理が見えてくるのではないか。それを知るために取材を進めてみたものの、関係者からは断られることも多く、依頼は難航。口を閉ざす人が多い中、大会関係者、ボランティア、聖火リレーの記録係、さらにはスポンサーの不買運動を行なった人の4組に話をうかがうことができた。(取材・文:小沼理)
CASE-04
ポリシーを日常に
反映する訓練に
スポンサー不買運動
ツキデエリコさん(30代・女性)
関西にあるクリエイティブ系の会社で働くツキデエリコさんは、五輪スポンサーの商品を買わない不買運動を行なっている。いわば「関わらない」という関わり方を選択した人だ。
「もともと五輪は好きでした。開会式や閉会式が特に好きで、シドニー、北京、ロンドンと見ています。ロンドン五輪は思春期の頃に見て、とても印象に残っていますね。その気持ちが変わってきたのは、東京への招致が決まったあと。復興五輪という言葉や、ナショナリズムが五輪にくっついていることが気持ち悪く思えたり、競技場で働いている人が過労死で亡くなる不祥事があったり……ネガティブな思いを抱くことが増えていきました」
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