なぜこの営業時間? Part2
コンビニは 24 時間営業があたりまえ、だった。けれどそれは24時間そこで働く人がいるということ。時間に人が合わせることで生まれる便利は、本当に必要なのか、 ということをようやく考える私たち。長く休んだり、少ししか開いてなかったり、普通じゃない時間にやってたりするお店の営業時間は、そこで商う人の意思であり、表現だった 。( 取材・ 文 : 丹野未雪 + 編集部 )
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深夜営業の古着屋の街(目黒区・祐天寺、学芸大学)
●はたらく時間と人と街のほどよい距離
東急東横線祐天寺駅は、渋谷から各駅停車で6分。商店街には、ファミレスやチェーン店系カフェと、個人経営の八百屋や食堂、居酒屋、整体院などがほどよく混在している。年々減少している銀行の支店、町の書店もある。そんな生活者の街には、夜更けまで店を開けている古着屋が点在する。
祐天寺駅東口から徒歩5分、17時に「nitako」は店を開ける。店主の小谷健太さん(30歳)がこの店を始めたのは2015年2月15日。当初から営業時間は17時〜25時なのだという。
「僕が上京して中目黒近辺に住んだのは2007年なんですけど、その頃すでに祐天寺には24時過ぎまでやっている古着屋さんが多くて、よく行ってたんです。店には僕と年齢が近い人も多くいて、仲良くなったり。自分が店をやろうと考えたとき、営業時間は同じだなと思ってました」
小谷さんが古着屋をやろうと考えたのは、もともと志望していた映像系の仕事が向いていないと感じたから。会社勤めは考えたことがなく、リサイクルショップでアルバイトしたりしつつ、「一人で何かしよう」と思い、自宅からも近く、よく遊びに来ていた祐天寺で店を開くことにした。
「ネットストアの対応も、この店にいるときにしてて。僕、接客も『いらっしゃいませ』『よかったらなんでも試してみてください』っていうのだけなんで、のんびりやってます」
店に訪れるのは、帰宅途中や近所の住人たちが多いというが、「急に衣裳が必要になったっていうスタイリストさんが『ネットで探して来ました』とかいうこともありますね」。
取材で店を訪れたさい、「ちょっとラーメン食べてきます。あとで」といって、小谷さんに取り置きを頼んだ男性がいた。常連のように見えたが、新入社員研修のため近隣のビジネスホテルに宿泊しているという大学生だった。「ぶらぶらしていて、たまたま見つけたんです」。その一方、近所に住む小谷さんと同年代の男性は、常連なのに店のスタッフ犬・トムさんに吠えられていた(いつものことだそうだ)。
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