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35歳からのハローワーク 第5回 飲食店 太田明日香

 今回は飲食店。独立開業の代表格だが、ノウハウがたくさんありすぎて成功の秘訣がわかりにくい。お話を聞いたのはヴァンナチュール(注:自然派ワインともよばれる、ぶどうの栽培も醸造も自然な造りのワイン)だけのワインスタンドLuLuとドーナツ屋さんDONUT△CAMP。未経験他業種からの独立開業、都心から離れた住宅地で、ほとんど宣伝してないのにファンがついているという共通点がある。小さくても魅力ある店を作る秘訣を聞いた。

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小さくするとやりたいことができる
丸茂正裕さん(神奈川県横須賀市・LuLu)

ー店をオープンする前はどんな仕事をしていましたか?
 オープンは2017年、39歳のとき。会社員でグラフィックデザイナーとして10年勤めましたが、鬱がきっかけで会社勤めではない働き方・生き方を模索し、会社を辞めて2013年から和歌山県新宮市で地域おこし協力隊を1年半しました。2011年の紀伊半島大水害で被災した小学校を改装し、パン屋やカフェを作りながら自給自足を目指しました。
 その後、1年ほど地方のゲストハウスを巡る旅をしているうちに、出会った人たちと団欒できる宿泊業の魅力に気づきました。物件探しもしましたが、耐震基準等、宿泊業を始めるための法律の条件を満たす物件の取得が難しく、参入しやすい飲食業をやることにしました。

ー店をやるきっかけを教えてください。
 修行のため茅ヶ崎のトラモンターナというイタリアンで働きながら、服部栄養専門学校の夜間部に1年半通って和洋中、製菓と一通り学び、調理師免許を取りました。なくても開業できますが、年齢を考え、お客さんの信用を得る意味で取ることにしました。
 恵比寿にあるWaltz(ワルツ)という4坪のヴァンナチュールを取り扱うワインスタンドがあり、学校の帰りに通ううち、ワインは堅苦しいと思っていたけど、ヴァンナチュールの味や香りの多様性や造り手の姿勢に魅了されていきました。Waltzは1人でやっているし、ああ、私もやりたい!と。調理と接客を一人でやるのは無理そうだと思いましたが、ワインに特化すれば一人でもやっていけると気付きました。人件費や家賃の固定費がかさむと大変だと思い、一人でやることに。今でもWaltzで飲んだ200種類以上のワインとトラモンターナでの経験は私の礎になっています。

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