10年10人のShit #8 マーブル色の感情のさき―過去と向きあう声/金村詩恩(文筆家)(仕事文脈vol.18)
東日本大震災から10年が経ち、終わりの見通せないコロナ禍にある2021年。「復興の象徴」とうたわれた東京五輪もトラブル続きで、もはや誰のために開催するのかわからない。この間にも広がっていく、分断や格差、政治不信。そして「Shit」な思いが積み上がっていく。
この特集では、この10年に感じたShitについて、10人の人たちに書いてもらった。その人が直面している困難や葛藤を伝えるもの、不満や怒りを口にしていいと気づかせてくれるもの。さまざまな立場から綴られた文章は、私たち自身のShitを呼び起こしてくれるはずだ。
#8 マーブル色の感情のさき―過去と向きあう声/金村詩恩(文筆家)
iphoneのみが灯りだ。深夜だから声は小さい。それでも、となりの部屋で寝ている両親から注意される。
年上の友人との電話はいつから習慣になったのか。気づいたときには毎晩かけている。きのうも話しこんでいた。切ったあと、すずめの鳴き声が聴こえてくる。カーテンの隙間から朝陽が差しこむ。まぶしい。寝不足には厳しすぎる。寝る気はなくなった。無理矢理、身体を起こす。きょう? それとも明日? どっちでもいい。日中の仕事が終わったらはやく寝よう。
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