コロナ禍で無くなった裏も嘘も込みのこと 和良コウ(仕事文脈vol.18)
二年前に、転職した。
前の版元とほぼ同規模の中小出版社に移ったのだが、こんどは大手の子会社で、あらゆるしきたりが違っていた。簡単に言うと、大企業の文化なのである(大企業勤めたことないけど)。
メール一つにしても他の部署とやりとりするときに、上長だとか上長の上長の方々だとかにCCでいちいち「共有」しなければならない。(わたしみたいに半ば自営業者的にふるまいがちな編集者は、今もついつい「共有」を忘れがちだ)。
あるいは企画が通って執筆が進行し、すでにゲラまで出ているような段階で、改めて刊行前に親会社のほうに出向いてプレゼンし正式な承認を得るという「儀式」もあったりする。もちろんその段階で、真剣に企画内容が吟味されるわけでもない。
こうした官僚的な手順が挟み込まれる場が多いのだ。
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