非常勤講師匿名座談会（仕事文脈vol.25・特集2 ふつうに複業）前編

研究者やデザイナー、アーティストなどと並行して、非常勤講師として働く人は多い。講師として教壇に立つことは、本業で得た知見を生かしながら自身にとっても学びが得られる仕事だ。一方、非常勤講師は授業時間外の労働を含めると賃金が低いこと、5年で雇い止めになるケースが多いことなど、その労働環境が問題視されることもある。複業の場合、他の仕事や生活との調整に苦労するケースも少なくない。
編集部の小沼も今年から週に一度、美大で非常勤講師として働くことになった。そこで今回、美大・芸大で非常勤講師の経験がある３名の匿名座談会を実施。やりがいや働きながら感じたことなど、複業としての非常勤講師の仕事について語ってもらった。

プロフィール

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Tさん
現代美術作家として活動しながら、非常勤講師として複数の大学や専門学校で実習授業を受け持つ。非常勤講師歴は10年で、現在は週５、1日2コマ程度を担当している。

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Yさん
研究者やアートプロジェクトのマネジメント業務などを行う。出産・育児期間を経て今年５年ぶりに非常勤講師を再開。週に一度、３コマ連続で座学授業を担当。

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Ｋさん　
京都の書店でイベント企画をしていた経験から非常勤講師に。２０２４年前期まで約６年ほど続け、直近では実習事業を週２コマ担当していた。現在は僧侶、友人の会社のサポートなどをして働いている。

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週５で講師を担当しながら
朝や夜に別の仕事をこなす

——まずは皆さんがどんな授業をしているのか、非常勤講師以外はどんな仕事をしているのかを教えてください。

Ｋさん　ある芸術大学で作家を目指すコースを担当していました。もともと書店で６年ほど働いていて、書店イベントの企画などをしていた時に声がかかり、仕事の延長線のような内容を学生たちに教えていました。学生に書店でのトークイベントを企画させるなどといった実習型の授業ですね。
　本職は僧侶でお寺の活動をしているほか、友達が経営している会社をリモートで手伝ったりもしています。非常勤講師の仕事はこの秋からはなくなってしまったのですが、それまで６年ほど続けていました。

Tさん　現代美術作家として３Dプリンターなどを使いながら彫刻作品を作っています。非常勤講師としては複数の芸大・美大、専門学校で実技を教えていて、一番古いのは専門学校です。10年くらい前からですね。頻度はその時によってばらばらですが、今年は前期が週２〜３、後期は週５です。日中は大学の仕事が中心になりますが、非常勤講師は拘束時間が長くないので、午前中や夜に自分の仕事をやるサイクルを作っています。

仕事文脈vol.25 | タバブックス