10日ほど前に花屋を始めた。/寺尾紗穂(仕事文脈vol.19)
10日ほど前に花屋を始めた。寄せ植え専門だ。店舗はなく、BASEで売る。最初はCreemaとかMinneとか作家さんが集まっているサイトで出してみようかなとも思っていたが、結果的にはBASEで私のCDやLP、本などと一緒に売って正解だった。花が売れると、付随して一緒にそれらも動くのだった。当たり前だけれど、ツイッターで1,2度BASEでグッズを売ってますと投稿してもそれを見逃しているフォロアーは沢山いるということなのだと知る。花を一点ずつ上げていくことで、あ、こんな販売サイトできてたんだ、とその都度気づいて他の商品を買ってくれるお客さんがいるようだ。
幼稚園のころはお花屋さんになりたかった。けれど、車の免許を取るつもりはなかったから、店舗を開いて市場から大量の花を仕入れていてくるスタイルは無理だ。去年の4月に引っ越した家は、千川上水の気持ちのいい道を行って大通りを曲がったところに大きな園芸品店があった。自転車で10分もかからないくらいだろうか。数か月に一度はそこにいって、ベランダにどんどんほしい植物を増やしていった。そこにない苗木などは、通販で買った。子供たちの子育てが終わったら、どこか庭つきの家か専用庭のあるマンションに越して、この鉢で咲いている植物たちをみんな地面に植えてあげたいと思っている。森の木々は根っこで栄養を渡し合ったりしているそうだ。あの木が弱っているとわかると、周りの木々が助けてあげる。根っこは吸い上げるだけのものではなく、栄養を送ってあげるホースでもあるのだ。そうなのであれば、鉢で住む場所をわけられた植物たちもいずれはそうした連関の中で生かしてあげたい。今はできないけれど、寄せ植えの丸鉢の中ではそんな小さな関係性が生まれていかないだろうか、という願いも込めて寄せ植えを作っている。
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