こいのぼりの好きなもの探り18 キングオブコント2021 ※ネタバレを含みます
10月2日、T B Sが主催するコントのコンテスト「キングオブコント2021」が開催されました。ルールの一部が改定され、審査員の顔ぶれが変わるなど、コンテストとしても節目になった今年。決勝進出者10組、全てのコントがとても面白かった。素人目にみていて感じたのは、同じコントという枠組みの中でもそれぞれ持ち味が違うな〜ということ。だから「もし視聴者が全てのコントをみた上で順位を決めるとしたら、1位はきっと文句なしに空気階段。だけど2位は、人それぞれ、好みによって挙がる名前が違うだろうな」と思いました。審査員の目にはどう映ったのかはわからないけども、視聴者からしたら、どれも違う面白さがあって、比較することすら難しい。それくらいアツい戦いでした。私のお気に入りは蛙亭、ザ・マミィ(1本目)、ジェラードン、空気階段(1本目)、のコントです。
蛙亭のコントはS Fチックで壮大な世界観でありながら、人工生命体(中野くん)が現代の日本人を抽出したようなリアクションをしていたり、研究員(岩倉さん)がぬるぬるをちゃんと気持ち悪がっていたりと、そういうギャップが面白かったです。蛙亭のコントは観ている人が思わず突っ込んでしまう可笑しさと、新しいものの見方を提示された様な感動が良いバランスで詰まっていて、そこがとても好きです。あと中野くんが何故かかっこよく見えてくるんですよね。本来不利に働く(事実不利だった気はしますが)一番手だったのにもかかわらず、会場をものにしていて笑っちゃいました。今回空気階段が歴代最高得点を叩き出した要因の一つでもあると思います。蛙亭、大好きです。
コントには「人間の弱さとか愚かさに焦点を当てて、それを良い意味で面白がる」という側面があると思っていて。ザ・マミィはその表現がすごく上手なんだな〜と感動しました。他のコントもいくつか見たのですが、人間の愚かさを愛おしいと思える様な切り口のコント。誰かの人生を救ってしまう様なコントです。ライブに行ってみたいな〜と思いました。
ジェラードンはネタ番組でたまに見かけるくらいで、応援していたわけじゃないのですが、腹を抱えて笑っちゃいました。ご本人達がネタ前の紹介動画で「小学生でも笑える、何も考えずに笑えるコントです」っておっしゃっていて、まさにその通りでした。毎秒面白くて、涙が出ました。審査員のどなたかもおっしゃっていたように、アタック西本さんとかみちぃの濃いキャラクターに対して、最後に海野さんがガツンと入れた無言のツッコミが劇を綺麗に締めていて感動しました。すごく楽しい時間だった!
蛙亭やザ・マミィは個の面白さを生かしながらもメッセージ性や起承転結、伏線とその回収がしっかりあって、一つの物語として完結している。それと比較するとジェラードンを筆頭にニューヨークやマヂカルラブリーは個の面白さを全力でぶつけてくるタイプのコントでした。多分その両者(物語としての構成の面白さと個の面白さ)の塩梅が最高だったのが空気階段で、優勝だった。私はそう思いました。
空気階段はラジオからファンになり、彼らに優勝してほしいと願いながら今回の大会を追っていました。もぐらさんが転ばないか終始心配ではありましたが、どの瞬間も面白かったです。くだらないことを面白がる精神が詰まった2人のコントが大好きです。何故か空気階段のコントは、見終わった時にほっこりと温かい気持ちになる。それは2人の他者に対する寛容さ(あるいは他者との違いを面白がる精神)からきているのかもしれないな、とラジオを聴いていて思います。汗だくでトロフィーを抱くもぐらさんと、顔を思いきり歪ませて目に涙を浮かべるかたまりさんを見て、この時代に生まれて良かったと思ったこいのぼりでした。幸せです。
こいのぼり
(写真は長瀞の川です。なんだか最近とった写真の中で、1番空気階段っぽい気がしました。)
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