11/28『少女マンガのブサイク女子考』『へんしん不要』刊行記念 トミヤマユキコ・餅井アンナ師弟対談レポート
『へんしん不要』発売から約1ヶ月、このような時期ではありますが、やっと刊行記念イベントを行うことができました!餅井アンナさんの大学時代の恩師、トミヤマユキコさんとのトークです。師弟対談らしく、とても温かく、かつ深い分析もあり、次に続く人たちへのメッセージも感じられる、とても有意義なお話になりました。その一端をご紹介します!
会場は、渋谷BAGONEさん。会場とオンライン配信両方でお届けしました。感染防止対策万全な会場があること、本当に心強いです。
さて、トークは師弟の出会いエピソードから。早稲田大学、トミヤマ先生の「編集実践」の授業で餅井さんが作ったのが、ZINE「食に淫する」(餅井さんのサイトでご覧ください!)。ほとんどの学生が、授業の課題として作っていたけれど、餅井さんは「売れるものにしたい」と言ってきたそうで、なんて意識が高い子だと思ったとか。餅井さんはその頃体力的に落ち込んでていて、就活は無理そう、せめて文学フリマでこれを売ってみたいと思ったそうです。ZINEが今の餅井さんのスタート地点だったんですね。
そしてお二人の最新刊についてのお話に続きます。トミヤマさんの『へんしん不要』評は、「お便り形式というのは上手いやり方だなと思いました。自分の弱さを描くとどうしても自罰的になってしまうけど、手紙は自分を分裂させるというか、不思議な自己の扱いになり、やさしさにつながる。書きながら自分も励まされた2年間だったのでは」というものでした。読みながら思い出したのが、雨宮まみさんの人生相談「穴の底でお待ちしています」だったとのこと、相手に飲み物をすすめ、気づかうやさしさ、本当にそうですね。
トミヤマユキコさん最新刊『少女マンガのブサイク女子』について餅井さんは、「近所の年上の元気な人が、お見合い相手を紹介してくれるみたい。その人のことも、紹介される人のことも好きになってしまう」と。確かに、出てくるマンガ読みたくなるし、マンガのブサイク女子たちのことも愛おしくなる本です!
その後トークはこの日のテーマ、「弱い女」がいかにして「書く女」になったか、を中心に進んでいきます。これはもう...名言連発で参加の皆さんもうなずきまくりでしたが、少しだけご紹介しましょう。
トミヤマ「自信はおおむねないじゃん?でも『へんしん不要』の中でほめてもらって真に受ける、お世辞を言ってもらえる自分を認めるというのがいい」
餅井「人をほめる時って、考えてしまいます。思い過ぎてると思われないか...」
トミヤマ「物を作ってる人は、自信はない。でもほめ言葉を一旦受け止める、それはいい才能だよ」
書かれたことば、感情や行動を、対話をしながら読み解いていく、とても興味深い話が続きました。事前にたくさん質問が届いていましたが、将来への不安や、フリーランスでやっていくことへの疑問などへも、経験から基づいたお二人のアドバイスは具体的で、きっと何かしら発見があったのではと思います。
トーク終了後、サインする教え子のページを押さえてくれる先生...ありがとうございます。最後まであたたかい、充実した1日となりました。トミヤマさん、餅井さんが書くこと、ぜひこれからも注目したいと思います!
【イベント概要】
『少女マンガのブサイク女子考』『へんしん不要』刊行記念 トミヤマユキコ・餅井アンナ師弟対談
日時:11月28日(土)14:00~ (13:30開場)
会場:BAG ONE (〒150-0046 東京都渋谷区松濤1丁目4-8)
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