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東京五輪に関わった人たち CASE-01(仕事文脈vol.19)

開会の約2週間前に無観客での開催が決まり、東京五輪は多くの人にとってテレビなどメディアを通じてしか接する機会がないものとなった。新型コロナウイルスの感染拡大や度重なる不祥事を受け、会期中も反対の意見が激しく飛び交っていたが、実際に現場で働いていた人はどう感じていたのだろうか。関わった人の話を聞くことで、近い場所にいたからこその複雑な思いや、あるいはその人なりの論理が見えてくるのではないか。それを知るために取材を進めてみたものの、関係者からは断られることも多く、依頼は難航。口を閉ざす人が多い中、大会関係者、ボランティア、聖火リレーの記録係、さらにはスポンサーの不買運動を行なった人の4組に話をうかがうことができた。(取材・文:小沼理)

CASE-01 「やってる感」重視の
上層部への不信感

大会関係者  Bさん(20代・女性)

東京五輪の準備・運営を行なった東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会。Bさんはその関係者として働いていた。


組織委員会のメンバーは、都庁や自治体からの公務5〜6割、スポンサー企業からの出向が3割、他が民間企業から参加した人たちという構成。Bさんが感じたのは、「お役所的」な業務の多さだった。


「実際の効果よりも、『やってる感』を重視するところがありました。コロナが流行する前は暑さ対策が問題になっていましたが、十分な冷風機を用意する予算は降りず、『冷風機少しと、各会場で余るほどの塩飴』の予算が通ったと聞きます。『とにかく対策をしている』というための対策が多かったです。内部ではどうしてこの予算は通るのにこの予算は通らないのかと思っていましたが……正直、アベノマスクとかにも似たものを感じました」

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