「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」道後湯玉編~復活の音頭の誕生
皆さんこんにちは。
現代音頭作曲家の山中カメラです。
さてこの連載も終盤に差し掛かってきました。
残すはあと3曲!
今回は盆踊りの生みの親とされる、一遍上人生誕の地、愛媛県松山市は道後のお話です。
----------
シリーズ「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」
道後湯玉編~復活の音頭の誕生
2013年、春頃から海野貴彦(かいのたかひこ)という男から頻繁に連絡が来るようになった。
「カメラ君に愛媛県松山市で音頭を作ってもらいたいと思っている」
という内容だった。
画家の海野さんとは、2009年に別府で出会っていたので面識はあったものの、電話の内容はイマイチ要領を得ず、「作ってもらいたいと思っている」という「告知」のみだったので、私もその都度「もちろん」とか「是非」とか答えるに留まっていた。
しかし、秋頃の電話で「条件を全て整えたのでこの期間、松山に来て道後温泉の音頭を作ってほしい」と遂に具体的な依頼を受けた。
先の告知で心の準備は十分出来ていたので、「遂に来たか。よし」という心境だった。
当時道後の商店街では、街のシンボルである日本最古の温泉施設、道後温泉本館が数年後に長期間の改修工事に入ることが決まり、観光客の減少を危惧した道後商店街青年部が、「なんとかこれからの道後を盛り上げる事は出来ないか?」と海野さんに打診、そこで山中カメラを紹介していただいたのだった。
奇しくも道後温泉は「盆踊りの始祖」とされる踊り念仏で有名な「一遍上人」の生誕の地であり、
「道後を盆踊りの聖地に!」のスローガンの下、道後商店街が主催、海野貴彦が総合プロデュースという構図で「道後に現代音頭を」という運びになった。
12月、フェリーに乗って真冬の道後温泉に向かった。
着いて早々に街をあげた歓迎会を開いていただき、道後温泉の音頭制作が始まった。
海野さんは天性の敏腕プロデューサーの手腕を発揮し、
住む場所から、松山の重要なミュージシャンや録音スタジオ仲介、ボンダンス大会に至る周辺イベントの構築まで、的確な采配、布陣で山中カメラの音頭をサポートしていただいた。
おかげで私は短い制作期間の中、音頭制作に没頭することが出来た。
愛媛県立図書館に朝から晩まで入り浸り、道後温泉の歴史と白鷺伝説、湯玉、日本国神話、伊佐庭如矢、一遍上人の踊り念仏、時宗、夏目漱石、正岡子規などについて郷土資料を読み漁った。
そして膨大な資料の中から重要な言葉を2つ見つけた。
「真暫寝哉(ましましいねたるかも)」
「となふれば 我も仏も なかりけり」
前者は日本国神話の伊豫国風土記、後者は一遍上人の句(言葉)である。
この2つの言葉を軸に、今の道後温泉で起こっている出来事、温泉に入ること、盆踊りをすることの真の目的(私もここで知った)が全て一つのパズルのように完全に組み合わさり、私自身も驚くような奇跡的な現代音頭が誕生した。
※この「真暫寝哉(ましましいねたるかも)」、「我も仏もなかりけり」の出展と意味とは?どのような経緯で発見に至ったのか?
音頭が出来上がって行く過程、制作秘話、詳しい解説などは、拙著「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」に詳しく写真、資料多数で掲載しております。
またタバブックスさんから出版されている「今日も盆踊り」という書籍に詳しいレポート、インタビューを載せていただいているので興味のある方は是非読んでみて下さい。
「今日も盆踊り」(著:小野和哉 かとうちあき)
出来上がった音頭を、海野プロデューサーの采配で、工藤冬里、中ムラサトコ、仙九郎、鶴光宗といった愛媛を代表するミュージシャンが参加し、珠玉の音頭が完成した。
完成した音頭を商店街の皆さんに初お披露目したときは、皆涙を流して聞いてくださり、2013年の年の瀬も押し迫った極寒の12月28日に、道後温泉商店街前広場にて世界初演された。
※village hototoguiss studioにて、参加していただいたミュージシャンと
それでは道後の奇跡の音頭「道後湯玉音頭」をお聞きいただこう。
※これは2018年9月に道後オンセナート/近藤良平さんとコラボレーションした時の映像。
今回出版されるCDは、2013年の録音を元に、2018年ギターオーバーダビング/リマスター版を収録しております。
※愛媛県のゆるキャラ、みきゃんも登場している振り付け動画。
この「道後湯玉音頭」は道後温泉商店街振興組合/青年部の情熱と協力で、毎年毎年、踊りの輪をどんどん拡大し、今や道後温泉本館をやぐらに見立て、踊りの輪で取り囲むまでに成長した。
地元の中学高校の吹奏楽部もこの音頭を生演奏で演奏し、様々な企業、行政を巻き込んだ一大イベントに成長している。関係者の皆様には改めて感謝申し上げます。
本作品集のプロデューサーでもある海野貴彦さんとは2009年の別府で初めて会ったのだが、会った場所というのが偶然にも鉄輪温泉にある一遍上人の石像の前であった。
なにか本当に道後、一遍上人とのご縁があったのだろうとしみじみと思う。
おかげで私はこの街が大好きになり、とうとう昨年の4月に松山に引っ越した。
道後が本当の「盆踊りの聖地」になる日も近い!
次回、「「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」」国東悠久編~コンセプチュアル音頭の誕生に続く!
----------
私の作品集が好評発売中です。よろしくお願いいたします。
2/27発売!豪華付録付CDブック仕様!
「山中カメラ現代音頭集 Shall we BON-DANCE?」(タバブックス)