小説 私より運命のひと /兼桝綾(仕事文脈vol.18)
「彼氏」だった時よりも「元カレ」になった時の方がずっと親密にふるまえる相手というのはいるもので、私にとっては学生時代に交際した佐竹がそうだ。親友期間が二年、交際期間は三年、そこから縁もきれずさらに五年、私も佐竹もよくモテる上に飽きっぽいので、交際相手は何度も変わり、それでも私達は変わることなく「元カレ」「元カノ」として尊重しあい、よく二人で遊んだ。しかし蜜月は十年で終わるようだ。かなり長くもったほうだ。佐竹の新しい恋人は、佐竹が私と二人で会うのをよしとしなかった。
「で、