未婚女性が公道でイチャつくカップルを見て怒った本当の理由―占い師は試される―
占い師はときに一方的に試されます。それが占いに関する内容であればまだ納得はできる。しかし、こちら(占い師)を特定の専門家だと勘違いされる方が多いです。それでいて的を射ない答えだとこれまた一方的に離れていく。難儀な仕事です。「専門家でも〇〇のプロでもないのだから知らないよ!」なんて言えませんから。ただ、うまく答えれば得意客になってくれたりもします。たとえ鑑定結果が当たらなかったとしても。
今回は事例紹介です。私が鑑定以外の部分でお客様に納得してもらい結局は「納得」です。占いが外れてもお客様に「得心した」と思って貰えればオッケーなのです。
高校生カップルと出くわし、イラついた理由が分からなかった独身女性
まだ低価格鑑定ばかりをしていた頃、とある女性の方(以下、Aさん)から鑑定依頼をされました。Aさんの悩みは二股です。Aさんは未婚者。もうすぐいい年になるので、はやく結婚をしたいとの願望を抱いていました。付き合っている男性はふたり。ひとりは理想に近いタイプ、しかし許容できるぎりぎりの欠点を持っている。もうひとりは理想には遠いが、収入がある――お金持ちの――男性です。お金持ちの男性はAさんよりもひとまわり上の年齢。
欠点がある男性はイケメンです。Aさんいわく「どちらも結婚できる感じがする」らしい。すでにどちらからも求婚に近いアプローチも受けているため、もうそろそろ身を固めようとしていたAさん。そんなときにある場面に出くわします。
Aさんが裏道を歩いているとき、高校生カップルが前方に見えました。道の幅は車一台がやっとの狭さ。カップルは道のはじに寄ってはいますが横並び状態。明らかに通行の邪魔です。もともと高校生くらいのカップルは周囲が見えていない。下手なことをすれば会話のネタにされる。「近づきたくない」本能的にそう感じたそうです。
とはいっても小柄なAさん。自身が通るだけならさほど問題はありません。「邪魔だな」とおもいながら道端に寄り、カップルを横切ろうとする。そのとき、ねっとりとした視線を感じました。視界の隅を気にかけてみるとカップルが揃ってこちらの横顔を凝視しているのが分かる。嫌な心持ちになるが、ここでカップルを注意しても悪者と見られるのはこちら。そのため、気にしない素振りで進んでいくしかない。
Aさんが数歩歩いたそのとき、ふと前方斜め前の民家の窓を見てしまう。そこにはお互いの顔を近づける高校生カップルの姿が見えました(窓に反射していた)。人通りが少ないとはいえ、通行人が通る道路でチューをぶちかましていたのです。帰宅して冷静に先ほどの状況をおもい返したAさん。怒りがふつふつと湧いてきました。けれど何に怒りが湧いたのか分からない。今さら、熱々のカップルに嫉妬をおぼえる歳でもない。交通の邪魔だからと、注意するほどの正義感もない。なぜか? 友人に話しても納得いく答えは得られませんでした。
以上がAさんの体験です。その体験を鑑定してもらった占い師に話し、答えを求めていたそうです。
Aさん「で、間木さんはどう思いますか?」
いきなり問われてしまった私。なにか試されている感じを受けたため、すぐに回答はせず、ヒアリングを徹底しました。これ、占い師ではよくあるケースですよね。こちらを試して、あとから後出しで詳細な情報を出してくる。「超能力者しかあなたの意に沿えない」案件。ですので、上記のAさんの体験談はヒアリングをしてようやく分かった事実です。当初は次のような簡単なヒントしかもらえませんでした。
Aさん「通行人の邪魔になる高校生カップルを見て、イラついてしまいました。でも、原因が分かりません。」
まずは過去の事例の洗い出しです。大抵の悩み、そして「良い回答」はパターン化されるためです。しかし、似たような事例はありません。悩んだ末、恋愛とは異なる視点で判断してみました。そしてAさんに告げたのです。
「もしかしてあなたは〇〇〇〇〇にされた事実に怒りをおぼえたのではないでしょうか?」
Aさんは至極納得され、次回の予約も入れてくださいました。
他の占い師の回答
私の回答を明かす前に、ほかの占い師の回答を見てみましょう。Aさんは私以外にも、同様の行為をほかの占い師にもしていました。いわば試していたのですね。どのような答えを返してくるのかを。なお、Aさんは各占い師に対して以下の事実を告げています。
・未婚者であること
・彼氏には困った経験がないこと
・現在、二股していること
以上
では、ほかの占い師の回答を記します。以下、私がAさんに回答してから判明した内容です。
1.自称恋愛のプロの占い師の回答
「真実の愛にたどり着いていないからです。恋人に困っていないからといって、愛情が満たされているとは限りません。だから本当の愛を確かめ合っているカップルについ嫉妬してしまったのでしょう」
Aさんの心情「恋に恋するお年頃の恋愛。たかが17,18歳の高校生に何が分かるのか? 手近なところで済ましておいて何が真実の愛なのか」
2.何の変哲もない占い師の回答
「二股という世間から見れば受け入れられない行為をしている自分と、純粋な恋愛を楽しんでいるカップルを比較してしまったゆえの怒りです。心の奥底にみじめさを抱いているからこそ、くったくのない笑顔をあらわしている高校生カップルについ嫉妬をしてしまったのでしょう。」
Aさんの心情「ありえなくはないけれど、なにか違う。恋愛は順調なので嫉妬はない。それに高校生同士だからといってなぜ純粋な恋愛だと断言できるのか?」
3.自称神職の家系に生まれ、臨死体験を何度も繰り返した果てに龍のパワーを受け継いでいる霊能者であり占い師
「あたには蛇が巻き付いています。気付かずに嫉妬の感情に捕らわれていたのです。普段のあなたであれば怒りを感じなかったはずです」
Aさんの心情「?」
4.おばちゃん占い師
「公共の場でいちゃいちゃするカップルなんてどこにでもいる。ようは気の持ちよう。貴方だって、そういった経験はあるでしょう? 大人なんだから余裕を持ちなさい」
Aさんの心情「ただの一般論を笠に着た説教じゃん」
ほかの占い師にたずねても次のような回答ばかり。
「あなたは本当は正義感の強い人。公衆の面前でいちゃつき、邪魔になっているカップルに怒りを覚えてしまったのでしょう。」
「それは単なる嫉妬ですよ。最近、嫌なことがあったのではないですか?」
など。
「もう、別にしっくりくる回答がなくてもいいや」なんて気分であったAさん。最後に期待せず安い鑑定料を掲げている私に依頼した、というのが事の経緯です。
私がヒアリングをしておもったのが、Aさんの怒りを覚えた地点。高校生カップルに嫉妬をする人物であれば、いちゃついているカップルを目撃した時点で怒りをおぼえるはず。しかし、Aさんは帰宅して、先ほどの出来事を冷静に辿ってから怒りをおぼえたのです。なにか違う。そこで私が出した結論、回答は以下。
私「もしかしてあなたはエキストラにされた事実に怒りをおぼえたのではないでしょうか?」
そうです。高校生カップルの視点からするとAさんは勝手、いや無断でエキストラ――つまり私たち(高校生男女)から見ればモブ――にされていたのです。いわば恋愛ドラマで主人公たちを盛り上げるだけの「舞台装置」。恋愛経験豊富なAさんは言語化はできずとも理解していたのでしょう。高校生カップルかすれば「人目を忍んでヒミツのキスをするあーしたち」なわけですね。
上記の意見を伝えたところ、Aさんは腑に落ちたようでした。
Aさん「みんな恋愛脳ばかりで困っていました。そのような見方もあるのですね」
Aさんは鑑定が終了(納品後)してから質問していたようです。だから占い師は労力を費やしたくなく、テキトーな答えを出したのでしょう。
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