愛の意味を教えてくれたのはあなたです
店員:お買い上げいただきありがとうございましたー
〇:いやぁこの寒さだし肉まん美味いだろうなぁ
〇:歩きながら食べるのはみっともないし家帰ってからの楽しみだ
肉まんが冷めないように急いで帰っていると
?:さむっ...さすがにダンボールだけじゃ寒いなぁ....
〇:(あぁ、ホームレスの人か
〇:(この寒さだもんなぁ...女の人みたいだし大変だな
そう思っていると
バタッ
〇:ん!?
〇:大丈夫ですか?あの!あの!聞こえてますか?
?:き、きつい......
〇:い、いま救急車呼びますね
?:ダメぇ...病院はお金かかっちゃう......
〇:そんなのどうでもいい!今から呼びます!
それから強制的に救急車を呼び
医者:お連れさん少しお話いいでしょうか
〇:はい。何でしょうか
医者:賀喜さんのお話なんですが...
〇:賀喜さん?
医者:救急車で運ばれてきた方のお名前ですよ
医者:賀喜遥香さんです
〇:あの方そんな名前だったんですね
〇:それで、その遥香さんが倒れた原因ってなんですか?
医者:栄養失調ですね
〇:栄養かぁ....
医者:ホームレスだったんですよね?
〇:そうですね。ダンボールにくるまってましたよ
医者:そうですか。お連れさんこれから暇ですか?
〇:ええ。肉まん食べるくらいしか予定はないですよ笑
医者:それなら、賀喜さんが起きるまで一緒に寄り添ってあげてもらえませんか?
〇:もちろんです。わかりました
それから目が覚めるまで遥香さんのそばにいると
遥香:んっ.....んん
〇:あ、目が覚めたみたいですね
遥香:ここは...どこ?あなたは誰?
〇:病院ですよ
〇:僕の名前は〇〇っていいます
遥香:〇〇さんがここまで運んでくださったんですか
〇:はい。目の前で倒れたので運びました
遥香:ありがとうございます でも...
遥香:医療費どうしよう......
〇:そんなの僕が払いますよ。
遥香:そ、そんなわけには...
〇:ホームレスの人に払えるとはサラサラ思ってないので運んだ時から僕が払うって決めてたので大丈夫ですよ
遥香:ほんとにいいんですか?
〇:はい。
〇:それと......これは賀喜さん次第なんですけど、
“うちで暮らしませんか?”
遥香:え?
〇:倒れた原因って栄養失調だし、このままホームレスでやっててもまた倒れちゃうかもしれないから
〇:もし良かったらの話なんですけどね
遥香:私なんかがいたら迷惑ですよ
〇:そんなことは無いですよ。それに遥香さんがどこかでまた倒れてるんじゃないかと思うとそっちの方がかえって頭に残って迷惑なので
遥香:なんでそこまで優しいんですか?
〇:まぁ...困ってる人を放っておけない性格なので笑
遥香:(“また” 悲しい思いをするハメになるのかな......でもこのままだと確かに倒れちゃうよね
遥香:わかりました。暮らさせてください
〇:はい!
それからというもの
『遥香さんって料理上手なんだね』
遥香:前までは毎日作ってたので
〇:だからか!すごい美味しいよ
『家事任せちゃってごめんね』
遥香:いやいやこれくらい全然大丈夫!
〇:仕事でなかなか家事に手が回らなかったから助かるよ
遥香:そっか。これからも頑張る!
〇:た、倒れないようにね笑
遥香:はーい
それから時は流れ
〇:あのさ...ずっと気になってたことがあるんだけど聞いてもいい?
遥香:なに?
〇:なんでホームレスになったわけ?
〇:そんだけ生活力もあるし仕事もしようと思ったら大抵の仕事はついていけそうじゃん
遥香:あぁ...まぁね
〇:答えにくかったら答えなくていいんだけどさ
遥香:いや、答えるよ
遥香:わたし実はバツ1なの
〇: ……
遥香:その時の夫はキャリアウーマンじゃなくて、専業主婦になってほしいって結婚する時に言ってきたの
遥香:だから専業主婦になって苦手な家事も克服して旦那が過ごしやすい場所を作れるように頑張った
遥香:ただ......
〇: ……
遥香:ある日浮気してるところを見つけちゃったの
〇:浮気か...
遥香:それで問い詰めたら逆ギレしてきちゃって財布も何も無いまま外に出されたの
〇:だからあそこで生活してたの?
遥香:そうだよ
〇:その旦那......最低すぎるでしょ
遥香:私も...あのときは好きだったから...悲しくて...悲しくて...グスッ グスッ
〇:ごめんね。悲しい思い出を思い出させちゃって
〇:それにしても、遥香のことをそんなふうにするやつなんて許せんな
遥香:もういいよ。こうして〇〇とあの時よりも良い暮らしができてるし
〇:遥香がいいならいいんだけど...
遥香:はい!もうこの話終わり!
遥香:この話題は悲しい方にしか進まない!
〇:そうだね。もう遅いし寝るか
遥香:うん
ーとある日ー
〇:遥香〜
遥香:なに?
〇:一緒に飯食いに行かない?
遥香:行こいこ! どこいくの?
〇:遥香が食べたいとこでいいよ。イタリアンでもフランス料理でも
遥香:ん〜じゃあパスタ食べたいしフランス料理かな
〇:パスタはイタリアンだわ!
遥香:そ、そうだっけ...笑
それからお互いが好きそうなお店をみつけ
〇:楽しみだな〜イカスミのパスタ
遥香:イカスミって食べたことないかも
〇:えぇ!イカスミってたまーに食べたりしない?
遥香:うん。1回も食べたことない
〇:へぇ...じゃあ楽しみにしててよ!
遥香:わかった!
それから料理を待っていると
?:あれ?お前もしかして遥香じゃねぇか?
遥香:(な、なんでこんなとこに△△がいるのよ
〇:(この人誰だろう?
△:ん?もしかして男連れてきてんのか笑
△:君に一つだけ言っとくよ
〇:なんですか
〇:(なんか嫌な雰囲気な人だな
△:こんな使えないやつとは別れた方がいいぞ
ハッハッハ
〇:使えないやつ?誰ですかそれ?
△:なにをとぼけてるんだ。遥香だよ
遥香: ……
〇:物凄く料理は美味しいし家事もできるし完璧に近い人ですよ
〇:それに使えないとか言ってますけど、遥香はロボットじゃなくて人間ですから!あなたが使う側じゃないですから
遥香:(〇〇......
△:こいつが完璧?笑 俺がコイツと別れた理由は完璧じゃないからだよ
〇:ほぉ...どこが
△:別れた理由はこいつがフランス料理まったくできねぇんだよ
〇: ………は?
△:聞こえなかったのか?フランス料理が作れないからだ
〇:フランス料理くらい自分で作ればいいじゃないですか。
△:ギクッ
〇:家庭ってのは2人が助け合って成り立つものだと考えてます。なのに貴方は、金以外のほか全部を遥香に押し付けている
〇:そんなやつの評価なんて聞きたくもないですよ
△:うっ......
〇:そこにいる貴方の彼女さんも、別れるなら今のうちですよ。傷口が大きくない間に逃げないと危ないです
〇:これは “ 2人で ”家庭を築こうとしている人の一言として聞いてください
△の女:この人たしかに私に押し付けてばっかり!
△の女:言う通り別れさせてもらいます
△:ちょっ...それはないだろっ...おい
さっそうと逃げていく女
△:きさまぁ”!
〇:殴りに来てもいいですけど、ぼく黒帯ですよ?
△:な、なに......くそっ覚えてろよ!
そして△△も店を後にする
〇:ふぅ...あんなやつと付き合ってたの?
遥香:恥ずかしい限りだよ
遥香:私を守ってくれてありがと
〇:いいよ。それよりフランス料理が原因で別れたとか言われた時は笑いだしそうになったよ笑
遥香:だよね笑
〇:それでさ......ちょうどあの元旦那も振り払ったところだし僕からひとつ提案というかなんと言うか...
〇:伝えたいことがあるんだ
遥香:なに?
〇:俺は...家庭ってものは2人で成り立たせて初めてお金では買えない幸せを感じられると思ってる。
〇:遥香に出来ないことがあれば僕がやるし、僕が苦手なところはサポートして欲しい
〇:だから......
“ 僕と結婚してください “
遥香:ほんとに!?
〇:うん。僕の気持ちだよ
遥香: …それなら、よろしくお願いします
〇:よっしゃあ!
遥香:わたし1人に色々押し付けた許さないからねっ
〇:もちろんだよ
それから2人は、2人で幸せになったそうな