音声燻製
地球へ収集に行っていた仲間が宇宙船に戻ってきた。
収集したものは、地球人の声。
自由自在に操る地球人の声は、食べると美味い。
私は歌声が好みだ。
飲み込むと同時に、喉が響く感覚が良い。
「地球人が変わった食べ方をしていた。今日はそれを試そう」
仲間は地球から持ってきた機械を取り出した。
機械の中に細かい木材を入れ、火を点けると宇宙船内に煙が広がる。
煙の上に収集した地球人の声を当てた。
「こうすると深い味になるらしい」
「そうなのか…ごほっ、ごほっ。いつまでやるのだ?」
「まだだ」
「煙でこっちが先にやられてしまうぞ。窓開けていいか?」
「おい待て、宇宙ヘルメットなしだと窒息してしまうぞ」
煙に耐えながらしばらく待つ。
「出来た」
ようやく出来上がり、煙を当てていた声は茶色に染まっていた。
「どれどれ…」
恐る恐る一口食べてみる。
ざらざらな食感、砂を飲んだような喉越し。
声と煙の相性は、最悪だった。
たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。