バンドを組む残像

身を潜めるのにうってつけな深夜の街。
公園内からギターの音が聞こえてきた。
忍び足で近づきながら確認すると、一人の男がギターを弾いている。
あいつは……間違いない、抜け忍だ。
俺は里から逃げ出した抜け忍を捕らえる任務に就いていた。
クナイを取り出し、抜け忍に向かって投げたが、避けられた。
「俺は音楽家になるために里を出たんだ。邪魔しないでくれ」
抜け忍はギターを弾きながら俺に言った。
俺は問答無用で次々とクナイを投げたが、ギターを弾いている抜け忍の残像に貫通するだけで、全て避けられる。
「おお!これなら残像でバンド組めるな!」
抜け忍は残像でバンドを組もうとしている。
クナイを投げたあと、聴覚に神経を集め、移動するギターの音をよく聴き、抜け忍が避けた移動先を予測し、再びクナイを投げた。
『ギィ~~~ン!』
ギターの弦が、悲鳴をあげた。
「俺の唯一の相棒が……」
膝から崩れ落ちた抜け忍を捕らえ、里へ連れ帰った。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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