レトルト三角関係
今日も鍋の湯加減はバッチリだ。
身体がホカホカになり、鍋から出る。
湯気を出しながら、愛しのご飯ちゃんの元へ向かう。
歩くごとに、身体の中がたぷたぷと音が鳴る。
たっぷり入っているという証拠だ。
「今日はお前の出番はないぜ。カレー」
隣に、俺と同じように湯気を出した奴が現れた。
「今日はこの中華丼様が、ご飯ちゃんを色とりどりに染める予定だ」
別の鍋にいたのか。
相手の身体は透明で中身が見えている。
変態め……。
「はぁ?俺はご飯ちゃんを何回も包み込んでる仲だぞ」
だが、中華丼は歩みを止めない。
「あん?カレーの時代は終わりだ。諦めな」
次第にお互い早足になっていく。
「だったら、ご飯ちゃんに選んでもらおう」
「いいだろう。まぁ俺様が選ばれるけどな」
ご飯ちゃんの元へ到着し、声をかける。
「ごめ~ん。今日は炊き込みご飯なの」
ご飯ちゃんは日焼けをしていた。
「……」
俺と中華丼は、湯冷めして冷え冷えになった。
たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。