みんなで動かない

勇者が死んでしまい、残りは俺達三人だけだ。
魔王を倒す伝説の剣は勇者しか扱えない。
「勇者がいなくなり為す術なしか?ははは!」
勝利を確信した魔王は舐めた態度で俺達を挑発してきた。
さっきまで青ざめてたくせに。
「どこからでもかかってくるがいい」
魔王は更に挑発を続ける。
こうなったら最終手段だ。
「召喚士!大釜を召喚しろ!」
「はい!」
召喚士は魔王の前に大釜を召喚した。
俺は魔王の背後に回り込み、大釜へ蹴り落とした。
急いで蓋をし、俺達は上に乗る。
「封印の魔法はないのか?」
魔法使いに聞くと首を横に振った。
「みんなで動かないようにすれば、釜の中で魔王はじわじわ溶けていくわ」
召喚士は淡々と言っているが…。
「いつまでだ?」
「さあ?」
「そうだ!みんな石になればいいんだわ!」
「おい!待…」
魔法使いは呪文を唱え、俺達は石になった。
魔法が解けたのは百年後。
伝説の剣を持った男が、目の前に立っていた。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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