金持ちジュリエット

僕は十階のバルコニーに向かって叫んだ。
「ジュリエーット!」
「ロミオ!どうしてそんなにぼろぼろなの!」
「ギャンブルに負けて文句言ったら痛い目に遭ったのさ!でも!次は必ず勝って、君を迎えに行くよ!」
「待ってるわロミオ!」
一ヶ月後、僕は三十階のバルコニーに向かって叫んだ。
「ジュリエーーーット!」
「ロミオ!」
ジュリエットは双眼鏡で僕を見ている。
「全財産賭けたけど駄目だったよ!」
「弱いのねロミオ!私は勝ちまくりよ!」
まさかジュリエットにギャンブルの才能があったとは。
勝った金で家を大きくしているようだ。
「次こそは必ず勝って、君を迎えに行くよ!」
「待ってるわロミオ!」
半月後、バルコニーだけ残った平地にジュリエットが立っていた。
「私も負けちゃったわロミオ」
「僕は借金まみれさ」
「でも、私達にはバルコニーがあるわ」
「僕達の愛の証だからね」
僕達はバルコニーを持ち上げ、ギャンブルへ向かった。

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