ジンジャークッキーイブ

クリスマスツリーのてっぺんでキラキラ輝く大きい星。
僕達ジンジャークッキーには縁がない場所。
ツリーにぶら下がりながら、見ていることしか出来ない。
一度でいいから、食べられる前に行ってみたいな。
今日はクリスマスイブ。
ケーキ屋にはお客さんが多く、店員さん達は忙しそうだ。
僕達はケーキほどじゃないけど、じわじわと売れている。
買われていく仲間達を見送っていると、残りは僕だけになった。
「ママー!これ欲しい!」
元気よく僕を指さしたのは、小さい男の子。
男の子のママは、僕を掴み、ツリーから取ったあと、男の子に渡す。
「ママー、ツリーのてっぺんまで抱っこしてー」
男の子は僕を掴んだまま、ママに抱っこされ、ツリーのてっぺんに移動する。
「えいっ!」
男の子は僕の股を、星の角に突き刺した。
こんな形で憧れの場所に来ることになるとは……。
男の子は、僕を見て喜んでいる。
僕は痛みを我慢しながら、笑顔を崩さなかった。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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