コロコロ変わる名探偵
夫婦を殺害した犯人は、長髪の長男、長髪の長女のどちらかだ。
「名探偵の俺に任せなさい!」
コロコロを持った探偵が突然現れた。
帽子を深く被っていて顔が見えない。
探偵は遺体があった床周辺を、コロコロで掃除を始めた。
「こ、これは!」
探偵は立ち上がり、コロコロに付いた物を俺達に見せる。
長い、髪の毛だ。
「犯人は長髪のお前だ!」
長男に指をさすと、長男は首を振る。
「だったら犯人は長髪の君だ!」
犯人がコロコロ変わる。
長女に指をさしても、長女は首を振った。
「これは事務所に戻って調べないと…失礼する!」
探偵は慌てて家から出ていってしまった。
「そういえば、あいつ遅いな」
長男がぽつりと呟く。
「あいつとは?」
「弟です」
「え?弟さんは今どこに?」
「散髪に行ってます。明日文化祭の劇に出るって…」
「役は?」
「探偵です」
変装して証拠を回収しに来るとは…。
俺は出ていった探偵を急いで追いかけた。