決闘年越しそば
今にも湯気が出そうなほど睨み合いをしている二つのそば。
お持ち帰り用のプラスチック容器からはみ出るほど大きい海老天を乗せたそば。
同じく容器からはみ出そうなほど大きい油揚げを乗せたそば。
どちらの年越しそばが沢山売れるか、決闘していたのだ。
「やっぱりサクサクで汁が染みる海老天が一番売れるっしょ!」
「いいや!優しい甘さでジューシーな油揚げが一番さ!」
蕎麦屋が開店するまで、睨み合いが続く。
「海老天そばさんときつねそばさん、争いはやめて仲良くいきましょうよ」
「具なしの素そばは黙ってろ!」
「はい……」
素そばが止めに入るが、二つのそばに威嚇される。
素そばが見守る中、蕎麦屋が開店した。
客達はそばの値段を見て、うーんと唸る。
「今年はこれでいいや」
「あとはネギだけ乗せよっと」
次々と売れていったのは、素そば。
海老天そばときつねそばは、だんだんとパサパサになっていく。
勝敗の理由は、物価高の影響だった。
たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。