モンブラン失言

空気が食べれそうなほど、甘い匂いがする開店前の店内。
先輩が作った色とりどりのモンブランがショーケースの中に並び、私は思わず目移りしてしまう。
私が作るケーキは先輩に遠く及ばない。
もっとケーキ作りを頑張らないと……。
「モンブランは白い山って意味なのに、こんなのモンブランじゃないよ!」
突然大きい声をあげたのは、同じケーキ屋で働いている白山さん。
「先輩!これが本当のモンブランです!私が作りました!」
白山さんはショーケースに指を指す。
端に、真っ白なモンブランが並んでいた。
……いつの間に並べたのだろう?
「どっちが本当のモンブランか、お客さんに判定してもらいましょう」
先輩は笑顔で、白山さんに言った。
目は笑ってなくて、少し怖い。
開店後、お客さんは白山さんが作ったモンブランに注目している。
「このミニショートケーキ美味しそうね」
白山さんはお客さんの反応を見て、うがーっ!と言いながら頭を抱えていた。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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