インドを編む山荘

仕事で疲れた心を癒してくれる山の緑。
今日は、登山途中にある山荘で一泊する。
「ヤマノボリ、ゴクロウサマ!」
ターバンを巻いた山荘の管理人が、温かく出迎えてくれた。
管理人はインド人らしいが、俺には日焼けしたおっさんにしか見えない。
「ワタシガ、テアミシタ、オミヤゲ、イカガ?」
管理人お手製のインドカレーを食べている最中に、山の形をした緑の編み物を見せてきた。
管理人の話によると、両親のために出稼ぎをしていて、稼いだ金は実家へ送っているという。
五千円する編み物だが、管理人の話に同情し、購入することにした。
就寝前、絶景スポットを聞きに管理人室へ行きノックをしたが、返事がない。
ドアを開けると、管理人はミシンで何か編んでいた。
床には、山積みのレトルトカレー。
「今日の客もちょろかったぜ……あっ」
日本語ペラペラの管理人と目が合う。
問い詰めると詐欺と認めたので、次の日、おっさんを山から引きずり下ろした。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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