山のポ

毎日降り続ける止まない雨に、村人達は困っていた。
「長老、なんとかならないんですか」
不安が限界に達し、私に訴えてくる村人達。
こうなったら、あれをするしかない。
「この雨は我々人間に対する神の怒りだ。怒りを沈めるために山頂でポをするしかない」
「ポ?なんですかそれは?」
「ポとは文字ではなく、記号だ」
「はい?」
紙にポと書き、村人達に見せて説明する。
「ポの下の部分が焚き火、上が空に向けて腕を縛られている人。○部分が頭だ」
「そう言われると……見えますね」
私の説明で村人達は分かってくれた。
「つまり、生け贄を捧げるのだ」
「それならポじゃなくて、普通に生け贄でいいのでは」
「ポのほうが格好いいじゃろ?」
「は、はぁ……」
私が考えたポに苦笑いする村人達。
「では、生け贄は長老でお願いします」
「え?」
「ポを考えたのは長老ですし……ね?」
「ええー!?」
村人達に両腕を縛られ、私は山へ連れていかれた。


たらはかにさんの企画に参加させていただきました。
以下の記事に詳細あります。


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