未来掲載短歌 2023年2月号
未来2023年2月号掲載
仮に
イントネーションを窺い駅をゆく震える水瓜すぐに隠して
四国からまた逃げてきたどこまでも駅は流れる水瓜があれば
仕事柄、言っちゃいけないことのあるぼくに短歌はうまく働く
ピンチからストッキングを取り除けるいつかどこかで会いましたよね
霜月の紫陽花の樹が誰よりも強く問うのだお前は樹かと
おおかたは人と見なされのびている幼い頃は薪割りもした
ストローク練習おわり帰り道まずリズム感ゼロの踏切
冬だからこの時間にも飛行機が光るよまさか星ではないよ
満月を獲って食べたらおいしそう彼の目玉のように潤う
欲ばかりあって正しい 正しいと腑に落ちたので執務に戻る