【認知症】一人暮らしは無理だと諦めていませんか?【結論:地域住民による見守り体制を支援すると在宅生活可能】
こんにちは。現役社会福祉士のタカヒロです。
今回は、認知症で一人暮らしを続けるための方法についてお伝えします。
結論は、「地域住民の見守り体制をつくること」です。
なぜ、このテーマにしたのか?
僕が回復期リハビリテーション病院で医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)として働いているとき、在宅復帰でいつも壁にぶち当たるのが、認知症で一人暮らしの支援でした。※ここで言う認知症は、身体機能は概ね自立レベルだが、HDS-R(長谷川式認知症スケール)が10点前半の方。
理由は、下記の通りです。
・ 家事全般に支援が必要
・ 病識が乏しい
・ サービスが入りにくい(本人が拒否する)
・ 徘徊する(事故につながる)
・ 閉じこもりがちな生活(身体機能の低下)
一見多くの介助が必要と思いますが、身体機能は概ね自立しているので、家事や買い物などのIADL(手段的日常生活動作)における見守りや声かけがあれば在宅生活が継続できる状態です。
しかし、このIADLの見守りや声かけを確保することが難しいのです。
一般的に家族による介護支援が困難な場合は、介護サービスの活用になります。介護サービスは契約行為なので、本人の同意が必要不可欠。しかしながら、本人が認知症で病識が乏しい場合、「私は自分でできる」と言うと無理やりサービスを調整することはできません。
身体機能が自立している方は、「自分は大丈夫」と思っている方が多いので、課題の顕在化を目の前で提示しても、なかなか受け入れようとしません。返って混乱を招く恐れがあります。
僕が担当した事例でも、病識が乏しくなかなかサービスの活用には至りませんでした。そこで考えてのが地域住民を巻き込むことです。
本人が懇意にしている地域住民を家族から聞き出し、本人の了承を得た上で協力を求めました。また、民生委員、自治会、地域包括支援センター、地域センター、かかりつけ医、かかりつけ薬局、宅食業者、新聞配達員、電気業者、近隣スーパーとも本人の情報を共有し、在宅生活をする上での協力を呼びかけました。
もちろん、個人情報保護が大前提なので家族の了承を得た上で実施しましたが、多くの関係機関と協力体制を構築することができました。
構築する方法は、地域包括支援センターに協力してもらい、地域ケア個別会議を開催してもらいました。
地域ケア個別会議とは、地域の個別的な課題を地域住民や関係機関内で話し合い、それぞれがどのように支援するか検討する会議のことを指します。
この会議を経て、僕が経験した事例は無事自宅に戻ることができ、数年経っても在宅生活を継続できています。
継続できている理由は、まぎれもなく地域住民の支援のおかげだと言っても過言ではありません。
僕たち社会福祉士は、調整をするだけではなく、その方がいかに生活を続けることができるか支援することが求められます。
そのためには、地域住民にハードルが高い支援を求めるのではなく、持続可能な関わりを提案していくことも必要です。
地域の強みをアセスメントし、その強みをどのように発揮できるか、探っていくことが社会福祉士の役割だと僕は考えます。
「認知症だから家に帰れない」ではなく、「認知症だから地域の強みを生かそう」という発想の転換をし、決して諦めないことも大事な社会福祉士の価値だと言えます。
今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。