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【まるで陶芸作家】日本茶の作り方の話【緑茶・煎茶】
こんにちわ、たいちです。
年も明けて、お正月ムードもすっかり終わりましたね(今更)
日本茶を日々楽しむ僕は、3月に日本茶検定の試験を控えています。
点数によって、認定される級が決まるのですが、1級取得のためには90点以上を取る必要があります!
仕事のスキマ時間で、日本茶の勉強をしているのですが、今回もそこで学んだ内容をアウトプットしていきます。
日本茶の流通について
市場に出回っている日本茶も、いわゆる加工食品や加工飲料という分類になりますが、流通のフェーズは大きく3つに別れます。
1.日本茶農家から、荒茶加工業者へ
こちらは、茶畑で摘採した生葉を、第一加工となる荒茶加工業者へと引き渡し、卸売業者やメーカーへ流通させるための加工を施す段階です。
生葉は痛みやすく、品質がすぐに変わってしまうので、摘み取ったものはすぐに加工され、『荒茶』と呼ばれるものになります。
2.加工業者から卸売業者、メーカーへ
『荒茶』には、茎や粉など、様々な形やグレードの茶が混ざっているので、卸売業者がメーカーが買い取り、『仕上げ』という加工を施すことで、一般に流通している茶に仕上げていきます。
メーカーはその段階で、様々な品種をブレンドすることで、自社商品として販売します。
3.卸売業者やメーカーから、小売業、消費者へ
この段階では、いわゆる一般市場に出回っている日本茶として、流通の流れに乗ることになります。
各ブランド毎に日本茶専門店に並ぶこともあれば、ブレンド茶としてスーパーやコンビニなどで販売されることもあります。
このお茶が、僕達消費者が飲むお茶ということになります。
手揉み製法
昔ながらの茶の作り方が『手揉み』
日本茶の製造工程では、こちらをイメージする人も多いのではないでしょうか。
Youtubeだと、こちらの動画がわかりやすいですね。
手揉み製法の流れをざっくり言うなら、『蒸す!』→『揉む!』→『乾かす!』といった感じですが、詳しく見てみましょう。
1.蒸熱(蒸し)
生葉の酵素を失活させることで、発酵を止める工程ですね。
生葉を入れた蒸籠を、甑と呼ばれる蒸熱用の水瓶に置き、加熱することで青臭さを取っていきます。
その後、冷ましながら熱を取り除き、焙炉と呼ばれる和紙を貼ったトレーに移し、助炭(加熱用の作業台)に乗せます。
2.葉振るい(露切り)
葉の水分を均一に蒸発させる工程です。
30~50分間、両手で葉を持ち上げ、振るい落とすという作業を繰り返します。
3.回転揉み
組織を破砕しながら、全体の水分を均一にしていく工程です。
40~50分間、両手で左右に大きく転がす→ひとまとめにする→体重をかけながら前後左右にゆっくり回転させるを繰り返します。
4.玉解き、中上げ
茶の塊を解きほぐす工程です。
ほぐした茶を、助炭から籠に移して、乾かしていきます。
5.揉み切り(中揉み)
茶に撚れ形を付けつつ、乾かす工程です。
再度助炭の上に乗せて、30分間両手ですり合わせていきます。
6.転繰揉み
針状に伸ばす工程です。
中央に集めた山を、両手で挟み込み、こするように旋回させます。
これを30分間、左右の手を変えながら繰り返していきます。
7.こくり
形を整え、光沢を出す工程です。
半分に分け、向きを揃えてから、強く握る→回転を与えながら揉む。
これを30分間繰り返していきます。
8.乾燥
70℃の助炭の上に、薄く広げて乾かします。
まるで陶芸作家のような手付きで作られるお茶は、機械で作られたお茶にはないツヤときめ細やかさがあります。
針のように細く長い形が特徴で、1煎目だけでなく、2,3煎目以降も美味しく飲むことができます。
機械製法
一方、現代の日本において、市場に多く出回っているのは、こちらの製法です。
機械での大量生産が確立されたからこそ、こうして日常で気軽にお茶が楽しめるといっても、過言ではないでしょう。
Youtubeでは、こちらの動画が分かりやすく解説されています。
手揉み製法と同じく、『蒸す!』→『揉む!』→『乾かす!』といった感じの工程ですが、機械化されている分、一部の工程が省略されていたりします。
1.蒸熱
生葉を蒸していく工程です。
手揉みのように蒸籠を使うのではなく、もちろん機械を使うことになりますが、『網胴回転撹拌式』という回転する筒の中で加熱するものと、『送帯式』というベルトコンベア式の上で加熱するものに2種が、メジャーなものになります。
前者は蒸し加減を調整しやすく、後者は葉が崩れにくいため、生葉の特徴によって導入される機械も異なります。
2.粗揉
『揉み手』『葦ざらい』と呼ばれる突起のついた軸を、筒の中で回転させることで、撹拌しながら茶葉に圧力を加えます。
3.揉捻
『ひる』と呼ばれる突起のついた円盤の上で、茶葉をさらに揉み込んでいきます。
唯一、加熱せずに揉む工程となります。
4.中揉
粗揉と同じように、突起のついた軸を筒の中で回転させ、茶葉の塊を解きほぐしていきます。
5.精揉
『だく』という洗濯板のような板の上で、揉み込みながら形を整えていきます。
6.乾燥
乾燥機の中に入れ、水分が5%程度になるまで乾かす。
仕上げ
上述のような流れで作られたお茶が、そのまま市販されるわけではありません。
最後に、卸売業者やメーカーによって『仕上げ』という加熱やブレンドの工程を経て、出荷されることになります。
Youtubeは、以下をご参考ください。
1.乾燥(先火)
選別や仕分けの作業性を上げるため、最初に加熱して乾燥させます。
この時、焦げやすい粉状のものなどは、先に選別して分けておくケースもあります。
2.選別・整形
大きな葉の切断や、粉や木茎を分別する作業です。
全てをまとめて選別する『総合仕上機』のほか、『風力選別機』『木茎分離機』などを使って行います。
3.火入れ(後火)
加熱することで「火入れ香」という香りを付けます。
各部材の大きさや形が異なるため、加熱の温度や時間も変える必要があります。
4.合組
各種の本茶と芽茶を混合し、味と香りを整える工程です。
こうして見てみると、材料は『茶葉』というシンプルな飲み物ですが、美味しく楽しむためにたくさんの工程を踏んでいることが分かりますね。
普段何気なく目にしている茶葉も、こういった工程を知ると、少し違って見えるかも知れませんね。
この記事の参考文献は、こちらの書籍になります。
日本茶の入門書として非常におすすめなので、気になった方はチェックしてみてください。
今日はここまで。