3年前の11月19日
毎年秋から冬にかけてどことなく寂しい気持ちになるのはきっと寒さだけのせいじゃない。
「終わりに向かっていく切なさ」を3年前の同じ時期に経験したからだと思う。
20代の頃から好きなバンド、The Cheseraseraが活動休止を発表した日だった。
去年無事に復活してるので、思い返して寂しくなるのは何か違うと思うけど。
それでも今だから分かった事もあるし、どうせだから記しておこうかなって。
(今まで書いた内容と重複してるところもあるかも、平気で同じ話何度もするのが私です…笑)
2018年頃、『最後の恋』をリリースした時のVo.宍戸さんのTwitterの投稿が印象的だった。バンド活動は正直順風満帆に行ってない、普通だったら辞めてるところだけどやり続ける、往生際の悪いバンド。そんなことを話していたと思う。
売れていく中で方向性やファン層が変わっていくバンドも一定数いると思う。ケセラはずっと変わらなくて、それが嬉しかった。素人の目から見たら十分に名前が知れ渡ってる方だと思っているが、本人達にとってはそうじゃなかったのかもしれない。
もちろんファンとしてもっと色んな人に知ってほしいけど、このままでケセラらしい活動をしてほしい、
何より、あのツイートを見たとき、きっとこの先何があっても、這いつくばってでも、彼らは足を止めないだろう、そう思って信じ込んでいた。
活動休止のお知らせを見て、脳を整理するのに1日かかった。
ショックだった。その1番の理由は彼らの活動が見れなくなる事。
そして2番目は、思うように売れなくてもそのままでいて欲しいなんて思っていた自分自身に対してだった。
追い打ちをかけるように、活休発表後の下北沢のワンマンライブで宍戸さんが活休の話題を出した中で、「ドカンと売れたことがない」って話していた。
2022年1月に活休ライブが行われ、2月に弾き語りのイベントに行った時に、宍戸さんが「これから色々な事に挑戦して、自分の名前が売れた状態でバンドを再開させたい」と話していた時から、私は好きなアーティストの推し方が少しだけ変わった…というより、少し増えた、という言い方が正しいかもしれない。
それまでは好きなアーティストが売れていくのをどこか冷めた目で見てたような気がする。きっとそれは"売れる"というワードだけを見ていたからかもしれない、そうじゃなくて、"自分が好きな音楽を好きだと言ってくれる人が沢山いる"、これはすごく幸せな事なんだろう。
とはいえ自分はそこまで強くはなく、ずっと寂しかったのは事実で。
勿論ケセラ以外にも沢山好きなバンドがいて、2022年は色んな場所に行って夢中で走っていた。充実していた。
それでも何か1つ足りない寂しさをずっと抱えていた。
2022年の夏、宍戸さんが福岡の対バンに呼ばれて、そのライブに行った。
アンコールで『たわけ』を立ち上がって歌っていた時、唐突にThe Cheseraseraのライブの光景がフラッシュバックした。ここにいるはずのないBa.西田さん、Dr.美代さんがステージで演奏している姿が浮かんできて、涙が止まらなくなった。
それぞれがソロだったり、別のバンドや別のジャンルの事を頑張っているのに、こんな風に考えてしまうのは申し訳なかった。
活動休止中、街中を歩くときによくケセラの曲をイヤホン聴いていた、だけど1曲だけ聴けなくなった曲があった。活休ライブで初めて聴けた『ラストワルツ』。昔からずっと大好きだった曲。だけど、あの曲は活休という名目じゃなかったらきっと聴けなかっただろうなって考えたら、すごく切なくなった。ランダムで流れてきても飛ばすようになってしまった。
活休のお知らせの中に、「約束はできないけど1年ぐらい後に戻って来れたらいいなと思う」って書かれていた。
だけど怖かった。メンバーがケセラを離れてそれぞれの活動をしていく中で、別の楽しみを見つけて、それでそのまま戻って来なかったらどうしようってずっと考えてた。
活休ライブからちょうど1年後の2023年1月9日、TwitterでThe Cheseraseraの公式アカウントから久々に通知が来た。活休前のライブの写真を久々に上げるのかな?って思って開いた。
目にしたのは、「The Cheserasera、スタジオ入りしました」の文字と、3人の写真。
家で1人で泣き叫んだ。もう悲しくて泣かなくていいんだ。
これまでに見た宍戸さんの弾き語りライブも楽しかったんだけど、やっと本当の意味で安心して見ることができた気がするし、ラストワルツも再び聴けるようになった。
復活ライブ第一弾は、彼らがだいぶお世話になっているムロさん主催のフェスだった。私はそこには行けなかったんだけど、その後のワンマン、活休公演と同じ場所だった下北沢シャングリラ。
活休時はコロナ禍で恐らく350人前後だったと思うが、この日はフルキャパ500人をソールドさせていた、それがとにかく嬉しかった。整番悪くて視界悪かったけど(笑)、久々の3人揃って演奏する姿を見て、全てに安心できた。
復活の第一弾として発売したE.P.『Replay』、
『GUS TOKYO』『踊れるMUSIC』あたりは今までのケセラとちょっと違う感じでめちゃくちゃ面白い。
その中で一番のお気に入りが、美代さんが作った『枯れた白い花束』。ケセラだ!!!美代さんだ!!!ってなって。ケセラらしい、良いなって思うところはちゃんと変わらないでいてくれるところが好き。
ケセラを好きになったきっかけは『東京タワー』だった。iTunesのDL日を見ると2015年5月20日だった。
あの当時、仕事やプライベートに潰されそうで、帰り道によく聴いていて。根本的に解決してくれるわけじゃないけど、そっと隣に居てくれて、それで不思議と救われて。もう少しだけ頑張ってみようってなれた。
それから9年。2024年の自分の根本は何も変わらずで、
今年の夏、ひどく落ち込んだ時期があって、その時に何故かこの曲を思い出していた。
そして、吸い込まれるように6月30日のO-Crestのライブのチケットと飛行機と宿を取って、吸い込まれるように渋谷に向かっていた。
今まで何度もケセラのライブを見てきた。だけど、その中のどのライブよりもこのO-Crestで見たこの公演が一番刺さった。
沢山の勇気と、優しさと、自由。その全てがそこにあって。
9年前はまさかこんなギリギリの状態でこのバンドのライブに行くなんて、想像もつかなかっただろう。
そんな無茶苦茶すぎる9年後の私が、彼らのライブを見て渋谷を後にした際に思ったのは、
"もう少しだけ頑張ってみよう"、とかじゃなく、
"私はもう大丈夫だろう"だった。
メンタルが劇的に弱いんで(笑)、この先またドカンと来ることはあるだろうけど、あの日以来、ちょっと自分が潔く振り切れるようになったなぁって、うまく説明できないのだけど。
私が最初に見たケセラだって、沢山の物を抱えては与えてくれていたけど、
今年見た彼らは比べ物にならないぐらい眩しく見えた。
きっと、沢山の人に自分たちの音楽を聴いてもらう為に前に進み続けてるからかもしれない。
相変わらずこの季節は苦手で、やっぱり偶に寂しい気持ちにさせられてしまう。
それでも3年前に比べて穏やかで、この3年間のおかげで、私は大切だと思う人たちへの愛し方を少しだけちゃんと分かった気がした。きっと意味があった3年間でした。
改めて、The Cheseraseraが大好きです。
戻ってくる選択をしてくれて、本当にありがとうございます。
これからずっと愛していきます。