Vo.7 人の顔と名前が覚えられない

人のいない夜道を歩く。

下水から漂う生活の臭いは
まるで人混みの中にいるかのように私を錯覚させる。

喧騒から逃れても尚、私は人から逃れられないのだ。私が人である限り。

青々とした木々は色を失い秋の訪れを告げる。
道路脇の街路樹、集合住宅、電球色の街灯。
一寸の狂いもない完璧なその配置は非自然的で風情がない。

が意外にも綺麗に見える。集合住宅の白をキャンパスに落葉樹の鮮やかな赤。それと同系色の明かりがバランス良く色彩を調和している。

まるで一枚の絵画を見ているようだ。

あぁ悪い癖だ。また頭を使ってしまった。

イヤホンを耳に挿しトレイシーチャップマンを聴く。下水の川の向こう側、工場の煙をぼーっと眺める。

何も考えたくない。考えたくないと思う事を考えてしまう。

曇る夜空に一筋の閃光。その輝きに魅入られ反射的に

「流れ星だ. . .」

と呟いてしまった。傍から見りゃ夜道で独り言を呟く男。そんな自分の滑稽さに笑ってしまった。
　
その刹那、私は私とたらしめる苦悩を忘れる事が出来た。

わずか数秒の幸福。それでも私は満足だった。
今夜は良く眠れそうだ。

---

ってな感じでわたくし確か不確かは外に出ると目に付く物全てを言語化しようとする癖があり脳みそフル稼働でヘトヘトなのでございます。

私にとって世界は情報過多。
対策は取っていました。休日は真っ暗な部屋で何もせずに過ごす。付いたあだ名はもぐら。

外出の際は少しでも情報を遮断する為にサングラスとイヤホンを着用していました。がコ◯ナ禍でマスク必須に. . .

故に雲ってグラサン付けれないのです。
頼みの綱イヤホンを忘れた時はもう超絶ブルーでございます。

常に俯きながら通勤です。あぁ南無阿弥ry. . .

さぁ脱線しすぎたのでタイトルに戻りましょう。

人の名前と顔が覚えれないのです。
どれくらい重症かと言うとデート中に相手の顔と名前を瞬間的に忘れたりします。

口説こうとしている相手と言う存在は理解しています。ただ顔と名前が一致しないのです。

そのせいで元カノに死ぬほど怒られた過去があります。(100%私に非があります。)

顔と名前を覚えられない理由は明白。言語化が脳みその容量を圧迫し名前と顔を覚える容量が残ってないのです。ひぃぃ助けてぇぇ。
どうにかこの自動思考を止めなければ、能力としてあまりにもピーキー。

自動思考の遮断の方法は心得ています。
人の脳は基本的に並列処理が出来ないはずです。つまりは物理的なアプローチで対策が出来るのです。

過去のトラウマでネガティブな思考が頭から消えず動けなくなった時は無理やり大声を出して身体を動かし思考をシャットアウトします。

私の昔からやっているそのアプローチ。

それはうんこと連呼しながらジャンプする。(※大真面目です)
もう一度いいます。

うんこと連呼しながらジャンプ。

お家に居るときは有効なんですけど外でやると警察呼ばれるじゃあなぁいですかぁ。

てな感じで外では出来ないので未だにこの言語化ループ機能で人の名前と顔を覚えきれず(存在は覚えてる)度々トラブルに見舞われます。

先日もとある用件で同僚に話かけようとしたら名前を一瞬忘れてしまい、あれ、この人名前何だっけ。って固まってしまいやした。

あぁ生まれ変わるなら美女の部屋のドアノブにでもなりたい。人間一週目。めげずに頑張ります。

それと夜道で独り言は普通に怖いので気を付けますね。